第030話 どうでもいいけど、結婚したら西野カ……
僕達は温泉から上がると、浴衣を着て、部屋に戻った。
そして、豪華な食事に舌鼓を打つ。
「美味しいなー」
「エロミ、浴衣を着崩すにゃ。お前は何も穿いてないし、つけてないからチラチラと見えるにゃ」
隣に座っているニャー子が苦言を呈してくる。
「女体盛でもする?」
「よし! そこに寝るにゃ。土瓶蒸し盛にしてやるにゃ」
「熱くね? 僕、痛いのと熱いのは嫌だよ?」
カナちゃんもそこまではしない。
せいぜいお尻ぺんぺんだ。
「食べ物で遊ぶな」
「そうっすよ。こんなに美味しいのに」
社長とチヒロっちが苦言を呈した。
苦言ばっかり……
「ごめん、ごめん。皆、浴衣が似合うね」
ただ、どいつもこいつも中にインナーを着てやがる。
「そういえば、前に好きなコスプレの話をした時にお前は浴衣が好きって言ってたな」
「あー、夏祭りとかで着る浴衣を想像していましたけど、確かにこれも浴衣ですね」
「エロミ、どっちのことにゃ?」
ニャー子が聞いてくる。
「どっちも好きだよ。来年はカナちゃんと花火でも見に行こうかなー」
「さて、その時にエロミは浴衣を着ているのかどうか」
どっちだろうね。
男なら着ないし、このままだったら着ていくことになるだろう。
「俺、ちょっと思っていることがあって、このまま高校卒業までに戻らなかったら一生、女子のままなんだろうなーって漠然と感じています」
チヒロっちが刺身を食べながらしみじみと言う。
「お前はそこが一つの区切りだもんな」
「はい。そして、まあ、それはそれでいっかと思っている自分がいます。少なくとも自分は1人ではないと思えちゃいますから」
僕達がいる……か。
「ニャー子もそう考えてない?」
「タマは元々、性別へのこだわりがお前らより低いからにゃ。どっちでもいいと思っているにゃ」
やっぱりそうか。
「社長は?」
「俺は独身貴族だ。仕事にも支障がないし、このままって言われたら仕方がないかと思う程度だ。もちろん、戻りたいとは思っているが……」
社長がそう言うと、3人が僕を見てくる。
「僕は戻りたいよ。カナちゃんと結婚したいし」
あと、✕✕✕✕してもらえないし、生理も重い。
「そうか……じゃあ、まあ、真剣に考えるか」
「そうするにゃ」
「考えますか」
良い人達……
でも、これまで真剣に考えてなかったってこと?
まあいいか。
「皆、ありがとう」
「うんうん」
「お互い様ですからね。僕らだって戻れるものなら戻りたいですし」
「ところで、エロミ。結婚したいって言ってたけど、そんなにかにゃ? お前ら、付き合ってまだ半年だろ」
ニャー子が聞いてくる。
「関係ないって。運命だよ、運命」
「そんなに巨乳が好きにゃ? ご主人様がいいにゃ?」
ご主人様ってなんだよ。
僕は犬かっての。
「真面目に考えてね……僕はこれまでの人生で彼女なんかいたこともないし、特別、仲の良い女の子もいなかった。さらに言えば、特別な趣味もないし、仕事場にはカナちゃん以外の女の子はいない。要はもう出会いがないんだよ。そんな中、あんなかわいくて家事もしてくれてエッチで優しい巨乳な彼女ができたんだよ? 断言できるけど、僕の人生であの子以上はもうない」
絶対にそう。
ちょっとSが入ってるけど、めっちゃいい子だもん。
「まあにゃ……」
「うん……」
「確かに……」
でしょ?
「しかも、僕のことを好きでいてくれるんだよ? もう結婚しか道がないでしょ! カナちゃんの目が覚める前に籍を入れて、孕ませるんだよ!」
順番は逆でもいい。
とにかく、絶対に逃がさない。
あのロリ巨乳は僕のものだ!
「……こいつ、ここまで自分のことしか頭にないと、逆に感心するにゃ」
「……清々しいほどにひどい男だな」
「……調教済みのドMなんですけど、したたかというか、自己中ですよね。これがエロミ姉さんの根底にある鬼畜さなんでしょう」
誰が鬼畜だ!
「シロウト童貞の坊や共め! 結婚は8割が打算なの! 僕はATMになろうとドMな下僕になろうと構わない! あの巨乳を手に入れるのだ!」
あんなに大きいのに張りもあって柔らかいんだぞ!
それにもうほぼ同棲している。
カナちゃんがいない生活は耐えられない
「あ、そうにゃ」
「頑張れ」
「本人達が幸せならいいんじゃないですかね?」
ん?
「何が言いたいの?」
「いや、完全に調教されてるにゃって……」
「妄信してるなって……」
「完全に飴と鞭で虜にされてるなって……」
うっさい!
知ってるわ!
もう料理も洗い物も掃除もしたくない体になってるわ!
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