第013話 高校


 ピンポーンというチャイムが鳴ったので玄関に向かい、扉を開ける。

 そこには仕事用のスーツを着たカナちゃんが立っていた。


「ただいま」

「おかえりー」


 今日はカナちゃんよりも僕の方が仕事を終わるのが早かった。

 だから先に帰ったのだが、すぐにカナちゃんもウチにやってきたのだ。


「せんぱーい」


 カナちゃんは扉を閉じ、靴を脱ぐとすぐに抱きついてくる。

 基本的にカナちゃんは甘えん坊さんなのだ。


「よしよし、今週も疲れたね」

「ですね。あ、御飯にしましょう。昨日のカレーでカレーうどんを作ります」

「いつもすまないねー」

「それは言わない約束でしょ」


 僕達はしょうもないやり取りをすると、リビングに向かう。

 そして、カナちゃんは寝室に行くと、部屋着に着替え、キッチンに向かった。


 もはや、僕達は同棲しているようなものだ。

 カナちゃんは何も言わずに部屋に入るし、キッチンで料理をする。

 カレーうどんを作ると言ったが、そもそも昨日、カレーを作ったのはカナちゃんだったりする。


「先輩、できましたよー」


 リビングでしばらく待っていると、カナちゃんがカレーうどんを作ってきてくれたので2人で食べる。

 そして、ご飯食べ終え、洗い物も終えると、ソファーでまったりと過ごすことにした。


「明日が休みっていいよねー」

「ですねー……あ、先輩、卒アル持ってきましたよ」

「ホント!? 見せて、見せて!」


 この前、自分の分を見せた時にカナちゃんのも見せてもらう約束をしていたのだ。


「はい、どうぞ」


 カナちゃんが卒アルを渡してきたので開いて、カナちゃんを探す。


「えーっと…………あ、発見!」

「正解です」


 いや、ほとんど変わってない……

 ロリ巨乳だ。


「かわいい!」

「ふふ、そうですか?」


 ブレザーのロリ巨乳もかわいい。

 それにちょっと髪も短い。


「かわいいなー」

「隣にいますよ」

「本当だ」


 僕はカナちゃんに抱きつき、日々の仕事の疲れを癒すことにした。




 ◆◇◆




「今日はチヒロっちが来ないんだっけ?」


 日曜日になり、いつものファミレスにやってきた僕はチヒロっちがいつもいる斜め前を見ながら聞く。


「そうにゃ。テスト期間中だからさすがに来れないにゃ」

「まあ、そっちを優先すべきだからな」


 学生さんは大変だねー。


「昨日、カナちゃんの卒アルを見てたんだけど、ああいうのを見ると、学生に戻りたいなって思うけど、テストの話を聞くと、戻りたくないって思うよね」

「わかるにゃ。テストはごめんにゃ。社長は成績が良さそうだけど」

「だろうね。きっと生徒会長だよ」

「まあ、生徒会長をしていたな……」


 やっぱりね。


「社長はセーラー派? ブレザー派?」

「あんまりそこを思ったことはないな……」


 おや?

 処女厨のくせに。


「そうなの?」

「どっちも好きだし」


 そっちかい!

 生粋だな、この人。


「社長、パパ活とかしてないよね?」

「しようと思ったこともあるが、リスクがな……社員に迷惑がかかってしまう」


 わーお。


「そんなにいいんだ。僕のセーラーを見る? はい」


 スマホを取り出すと、この前撮らされた写真を見せる。


「おー、お前、まだ高校生で通じるな。さすがはロリ」

「この写真の後にヤラれたにゃ?」


 そりゃね。


「まあね。ニャー子はないの?」

「ないにゃ。暗くなるから詳細には言わないけど、制服関係は実家にあるし、親と絶縁しているから無理にゃ」


 7億を当てたニートだもんな。

 色々とありそうだ。


「社長は?」

「どうかな……捨てたかもしれん」


 もったいない。


「お前ら、学生時代の記憶ってどんなのにゃ? 男? 女?」

「男だね。平凡に生きていたし、青春はなかった」

「俺も男だ。忙しかった記憶ばかりだ」


 やっぱり社長も男の記憶か。


「ニャー子は?」

「タマもにゃ。やはりその辺でも常識改変が起きてるかにゃ?」

「じゃないかな? 昔の友達に連絡でも取ったら? 僕はもう連絡を取っている人はいないから無理だけど」

「タマもにゃ。宝くじに当たったことが噂になって、たかってきたからすべて絶縁したにゃ」


 大変だわ。


「社長は?」

「俺もタマと似たようなもんだ。一度、同窓会に参加したが、面倒極まりなかったな」


 ベン〇に乗っている社長だもんなー。


「暗くなったから明るい話に変えようか。好きな人はいた?」

「タマは高校の時に先生が好きだったにゃ」

「男?」

「男」


 やっぱり。


「うーん、その時に戻ってほしいな。先生と女生徒の恋って何かエッチだし」

「実際は男子生徒だけどにゃ」


 それはなんか嫌だな……


「告った?」

「告るわけないにゃ」

「ふーん、他には?」

「2個下の後輩の女子かな? かわいかったにゃ」


 こいつこそ、業が深くない?

 ストライクゾーンが広すぎ。


「社長は?」

「同級生の子かな……彼氏持ちだったけど」


 あっ……

 処女厨になった原因が見えてしまった。


「そういうエロミはどうにゃ?」

「好きな子はいなかったかなー……AVばっかり見ていた記憶」


 ほら、おっぱいがね……


「さすがにゃ……」

「エロミはエロミだったんだな……」


 2人は呆れるどころか、もはや感心している。


「しかし、これ、常識改変後はどういう扱いになるんだろうね? ✕✕✕✕狂いのJK?」

「まあ、それを言えばタマもにゃ」

「…………✕✕✕✕狂いのロリJKが2人は嫌だな……」


 僕も嫌だよ。

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