第47話:ロシアの威信

 モスクワ臨時政府は、陸軍によるモンスター退治が失敗するのをライブ配信してしまい、国民からの信頼が著しく低下してしまった。


 このままでは手に入れた政権を他の勢力に奪われると思ったのだろう、今自分たちが使える軍事力を全て使う事にした。


 Su27戦闘攻撃機50機がKh29L空対地ミサイルでモンスターを攻撃した。

 Su25SM攻撃機50機がKh29L空対地ミサイルでモンスターを攻撃した。

 Tu22M3中距離爆撃機20機がKh15 短距離対地ミサイルでモンスターを攻撃した。


 それも1度や2度ではなく、反復して爆撃を繰り返した。

 1度でモンスターを倒していたら、反復攻撃は必要なかった。

 モスクワ臨時政府は、2度もモンスター討伐失敗を世界中に公開してしまった。


 だがこれは悪い事ばかりではなかった。

 一瞬で世界中に警鐘を鳴らす事ができた。

 ダンジョンの外に出たモンスターがどれほど恐ろしいのかを広められた。


 世界の庶民的には幸いだった臨時政府の失敗は、当のモスクワ臨時政府には政治力の著しい低下となった。


 2度の失敗により、地方政府だけでなく、軍までが言う事を聞かなくなった。

 モスクワ臨時政府は何としてでもモンスターを倒さなければいけなくなった。


 ただ、2度の失敗で、ライブ配信をしてはいけない事だけは学んでした。

 モンスター討伐に成功して初から世界に発信するようにした。


 モスクワ臨時政府は、今も命令に従ってくれる、一部の陸軍と空軍を使い反復攻撃を繰り返した。


 以前陸軍が使った戦車と歩兵戦闘車だけでなく、9K720地対地ミサイル車両、BM21多連装ロケットランチャー、ブーメランク装甲車などが投入された。


「竜也、お前に命を賭けてもらわなければいけないかもしれない」


 僕はおばちゃんに呼び出され、覚悟を決めなければいけない言葉を聞いた。


「ロシアがモンスター退治に失敗したと聞きましたが、ただ失敗しただけではないのですか?」


「ああ、モンスターがロシア陸軍を皆殺しにしたらしい」


「正確な情報ではないのですか?」


「協力要員が激減してしまっているからな」


「深雪お姉さんのファンクラブが調べてくれているのではありませんか?」


「モスクワ臨時政府の取り締まりが厳しくなって、情報が激減している。

 生き残りがいれば、臨時政府に反発して情報を流してくれたのだろうが、全滅してしまっては反発したくてもできないからね」


「僕が聞いている範囲の攻撃でも、我が家の魔術や魔剣を超えているように思うのですが、命を賭けた程度で倒せるのですか?」


「残念ながら、竜也なら必ず倒せるとは言い難い」


「僕に無駄死にしろと言われるのですか?」


「そんな事は言わないよ、命は賭けさせるけれど、必ず死ねとは言わない。

 鷹雄と美代が戻るまでに、できるだけ情報を集めて来て欲しいのさ」


「お父さんとお母さんが戻って来るのですか?」


「ああ、家で最強なのは鷹雄と美代だからね」


「おじいちゃんとおばあちゃんじゃないの?」


「ここ最近急激に実力を伸ばしてきたからねぇ、逆に私たちは年々体力が落ちてしまったから、抜かれてしまったのさ」


「じゃあ、お父さんとお母さんが史上最強ではないんだね?」


「そうだね、私とお爺さんの全盛期が史上最強だね。

 そんな事より、行ってもらう前に私と爺さんで家の秘術を授けるよ。

 少々厳しくやるけれど、生きて帰ってもらうためだから、泣き言は許さないよ!」


 ☆世界的アイドル冒険者、鈴木深雪ファンクラブのライン


Kenneth:モンスターがダンジョンの出入口から1000メートルも離れただと!

   :うそだ、ありえない、信じられん!


豚キムチ:俺たちが命がけで近づいて調べた情報だぞ!


みゆき命:おおよ、ロシア美少女の為に命を賭けたぜ!


Benno:こいつらが真のロリコンだ!


ノンバア:犯罪をしない限り、命を賭けている分、ロリコンの鏡かも……


ゆうご:本当かどうかは怪しいが、参考くらいにはできる。


Rafael:沿海地方からの情報では本当のようだ。

  :少なくとも陸軍が全滅したのは本当だ。

  :100メートルの安全圏が崩れなければありえない。


藤河太郎:まさかとは思うが、空軍の攻撃で出入口が広がったとか?


雷伝五郎:それを言うなら、複数の出入口ができた可能性もある。


Kenneth:軍事衛星の画像で確かめられるだろう?


豚キムチ:Kenneth、米軍の情報をハッキングしろ!


みゆき命:サイレントリュウヤ、今こそ出番だぞ!


Benno:こいつら無茶苦茶だ!


ノンバア:でも、間違った事は言っていないわよ。


ゆうご:そうだな、必要な情報を手に入れるためにはハッキングするしかない。


藤河太郎:だがいくらなんでも合衆国の軍事情報をハッキングするのは無理がある。


雷伝五郎:ロシア軍の情報ならどうにかなるのではないか?


Rafael:確かに今のモスクワ臨時政府からなら十分可能性がある。

 

Kenneth:深雪ファンクラブの猛者なら可能だ、やれ、やるんだ!


豚キムチ:ふん、ロシア美少女ファンを舐めるなよ!


みゆき命:そうだ、同志は政府中枢部にもいる。

    :ロシア美少女を守るためなら衛星情報くらい流してくれる!


Benno:お前はもうみゆき命を名乗るな!


ノンバア:口先だけでなく、本当に情報を流してくれるのなら助かるね。


ゆうご:当てにしていると、できなかった時に腹が立つぞ。


Rafael:俺たちはこれまで通りできる限りロシアの情報を集める。


藤河太郎:俺は日本の気象衛星から情報が手に入らないか動いてみる。


雷伝五郎:俺は日本政府から情報が手に入らないか動いてみる。


ノンバア:それぞれができる限り母国で情報を集める、いいね!


★★★★★★


 作者です。


 作品を読んでいただきありがとうございます。


 作品フォローや☆評価が作者のモチベーションに繋がります。


 作品フォローと☆評価をお願いします。


 <(_ _)>

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る