第三章 帝都編

第168話 帝都

お待たせしました!


ちょっと持病のヤツとの話し合いが長引いたので、予定より遅くなりましたが、なんとか再開いたします。

ただ、持病がなかなかに頑固だったので、思ったほど書き溜めが出来ませんでした。

単なる言い訳です申し訳ございません。


そのため、投稿のペースが週一回から二回くらい、または不定期になるかもしれませんので、悪しからずご了承いただけますようお願い致します。


それなのに。


よせばいいのに新作も投稿し始めました。

「人狼転生 ~ 魔王直属の忍者部隊を辞めた俺はスローライフをおくりたいのに周りが放っておいてくれない件 ~」


良かったらこちらも試しに読んで見てやってくださいまし。

いや、チョット覗いてみるだけでもいいから。

ね?


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「ザミエル殿、帝都が見えてきましたよ」


 豪華な馬車の御者台に座る護衛騎士のサンデルが、馬車の中の石動イスルギたちへ声をかけてきた。


 長旅に疲れ、馬車の中でぐったりと長椅子に横になっていた石動とロサは、その声にノロノロと目を開き窓から外を窺う。


 すると街道の先に、巨大な城砦都市が見えてきた。


「うわっ、スゲーな・・・・・・」

「へぇー、おっきいねぇ! こんなに大きな街を見るの、はじめて!」


 石動は目を見張り、ロサはすっかり眼が覚めたようで、感嘆の声をあげた。

 それを聞いて、フィリップ達護衛騎士らは笑みを洩らす。


 帝都は、もともと緩やかな丘の上に造られたものらしい。

 その丘を囲むように高さ30メートルはあるだろうか、前世の7~8階建てビルくらいの高さがある城砦がぐるりと張り巡らされていた。

 総延長はどのくらいあるのか、見当もつかない。


 街道はそんな城砦にポツンと開いた門に吸い込まれている。


 城塞の外にも様々な様式の住居や店、テントが犇めいていて、遠くから見ると山の裾野に広がる原生林のようだ。

 城塞の中はなだらかな山のように盛り上がっていて、建物が立ち並んでいるのが見える。

 その山を上がるにつれ同心円状にいくつか壁が造られていて、上の方が豪華というか建物自体が大きいので、貴族などが住むエリアなのだろうと容易に推測できた。


 中心には他を圧するほどの質量で、巨大な城が建っていた。

 シンデレラ城のように尖塔が並んでたりせず、華美ではないが質実剛健な石造りの壮大な建築物で、荘厳という表現がふさわしいと石動は思った。


「(あの城は何階建てなんだろう・・・・・・気が滅入るほどデカいな。何だか面倒になってきた。ああ、なんだか魑魅魍魎の巣に入っていく気分だなぁ)」


 石動は目の前の光景に、スゴイなと思うと同時に憂鬱になってきた。思わずため息をついてしまう。

 となりのロサは眼をキラキラさせて興奮しており、前世の上京したばかりの自分を見ているようだ。


 しばらくして馬車は城門外の裾野の街に入っていく。


 まだ城門まではかなり距離があるにもかかわらず、人通りは賑やかだ。

 土壁や石造りの家や商店は思っていたよりも普通で、道行く人々も獣人種や亜人、それに人間が入り交じっている。


「ふぅ~ん、城の外に追い出されてるのは、差別されているとかじゃなさそうね。ホントに普通の街だわ」

「そうだね。思ったよりもまともだ」

「帝都の城砦の中の土地が高騰して買えなくなった人達が、外に家などを建て始めたのが最初らしいです。帝都の人口は他の街からの流入もあって、年々増え続けているんですよ。外の街を囲う城砦の建設も、前から計画はされてるんですが、街が広がる一方なのでなかなか手が付けられないんだと聞きました」


 ロサと石動の会話を聞いていた、御者台のサンデルが解説してくれた。

 確かに馬車から見える外の街に暮らす人々の顔は明るくて、貧しいとか抑圧されているようには見えない。


「(どうやら、そんなに悪い国でもなさそうだ・・・・・・)」


 そんな風に感じた石動が、ふと前を見ると、もう馬車は城門近くまで来ていた。

 高い城壁が日をさえぎり、その影に入ると薄暗く感じられるほど凄い圧迫感だ。


「壁の中に巨人でも埋められてないよな・・・・・・」

「えっ、なにか言った?」

「何でもないよ」


 石動が軽口をたたいている間に、護衛騎士のフィリップが城門にいる兵士に書類を見せている。

 通行証を見た途端に兵士たちが敬礼し、馬車が城門を通過するのを妨げる動きは一切見せなかった。

 

 城内に入ると、道は石畳で舗装されていて、馬車の揺れが街道よりも少なくなるのが感じられる。

 中の街は外と違って石造りの二階建てや三階建ての建物が多く、歴史を感じさせるような老舗といった雰囲気の店も目についた。


 馬車が擦れ違えるほど道幅は広く、歩道も整備され、道行く人々の着ている服装もちゃんとしたものが多い。


 そして再び、次の城門を潜って、貴族街に入ると更に街並みは大きく変わってしまう。

 馬車が走りやすいように道幅も更に広く取られ、建ち並ぶ貴族たちの邸宅も大きく豪華なものばかりだ。

 歩いているのは巡回している衛兵隊くらいのもので、その分馬車の往来が多い。

 貴族は歩いて移動しないものなのだろう。

 

「めちゃくちゃ土地余ってるな」

「でも、こんなところには庶民は住めないわよ、息苦しくて死んじゃうかも」


 石動とロサが話しているのを聞いて、御者台でサンデルが苦笑いしている。


 もう一度、城門を潜ると、いよいよ帝国皇帝の住まう宮殿のあるエリアだ。


 門をくぐってしばらくは巨大な兵舎や訓練場などの軍事施設が続き、丘の頂上まで来て、やっと宮殿に到着だ。


 馬車は堀を渡って門をくぐり、城の中へと進んでいく。


 進んだ先は中庭のような車廻しのスペースで、大きな正面入り口への車寄せがあり、馬車はそこで停まった。

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