第161話 帝国への旅立ち

 マジックバッグはバックパックのように、背中に背負って固定できるよう、ベルトを取りかえてみた。マントに隠れるので外から見ても分からないだろう。

 取り出す際は念じながら、背中の剣を抜くようにすれば、容易に取り出すことが可能である。


 SAAやC96も試射を重ねてきたので、作動に問題ないことは確認済みだ。

 

 ロサにもSAAやC96を試射してもらったが、どうもしっくりこないから使い慣れたマリーンM1895が良いと言う。

 石動はそれならと、マリーンM1895の前後を切り詰めることで、ランダルカスタムとして新たにもう一丁作りあげてやる。


 ランダルカスタムとは、1960年代の人気西部劇ドラマ「拳銃無宿」で、主人公ジョッシュ・ランダルが愛用した銃の名前だ。

 まだデビューしたてのスティーブ・マックィーン主演の西部劇で、主人公はSAAではなく、銃身や銃床を短く切り詰めたウィンチェスターM92を使用してバッタバッタと悪人を撃ち倒した。

 もちろん石動は世代ではないので見たことは無いが、モデルガンやエアガンでも販売されているから知っているし、なんならガスガンを所持していたこともあった。


 それを真似て銃身を短くしたため、その下にあるチューブマガジンも当然短くなってしまう。

 そのため、拳銃弾より長い45-70弾はチューブマガジンに3発しか入らず、チャンバーに1発入れても4連発にしかならない。

 それでもロサは短くなって扱いやすくなったマリーンM1895ランダルカスタムを気に入り、特製の長いホルスターに入れて、右腰に吊るしている。

 そして肩には負い皮スリングを付けた18.5インチバレルのスケルトンストック付マリーンM1895を掛けていた。


 ロサの弓一式は石動が預かって、マジックバッグに仕舞ってある。

 もちろん、石動のM12トレンチガンにマリーンM1895、モーゼルKar98kにレミントンM700カスタムもマジックバッグに入っていて、それぞれで使用する弾薬も大量に用意した。


 石動は、我ながら何という重武装だろうと、半ば呆れながらも開き直っていた。


 下手をすれば、大国の諜報機関や暗部と渡り合うことになるかもしれない。

 これは戦争なのだ、と石動は覚悟を決めていた。

 本音を言えば重機関銃くらい欲しいところだが、手持ちの武器で何とかしていくしかない。

 これくらいの武装は仕方ないだろう、と考えていた。

 

 それにロサが背中を守ってくれるので、心強いことこの上ない。

 

 見送りに来てくれたカプリュスやラビス、オルキス支配人らと抱き合って別れの挨拶を交わした後、石動とロサが豪華な馬車に乗り込むと、護衛の騎士が馬車の戸を閉める。


 いよいよエルドラガス帝国に出発だ。


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◆クレアシス王国出発時における石動のステータス

 

 職業 「????」

 職業スキル

 ・錬金術師  11/99 → 48/99

 ・鍛冶師   15/99 → 45/99

 ・鑑定    10/99 → 32/99

 ・暗殺者   32/99 → 48/99

 ・銃使い   30/99 → 55/99

 ・狩人    8/10  → 9/10

 ・兵士    6/10  → 8/10


*黒い死神を倒したので、狩人がカンスト寸前です。暗殺者や兵士も上がっています。

 無煙火薬や雷管の作製で錬金術師や鑑定が、連発銃の製造で鍛冶師や銃使いも爆上がりしました。


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*これにて第二章が終了しました。


 やっとドワーフの国でのクラフトが一段落します。

 苦労した甲斐もあって、石動の武装がある程度完了しましたので、これからの展開が楽しみになってきました。

 

 「幕間」を挟み、第三章では、いよいよエルドラガス帝国編が始まります。


 帝位をめぐる暗闘に巻き込まれた石動とロサが、マクシミリアン皇子を守りながら、どう戦っていくのか?

 そして、第二皇子たちの陰謀に打ち勝つことができるのか?


 これからも、石動はレベルアップしたスキルで新たな銃器も造りますし、戦うことになるでしょう。


 なんだか、大風呂敷を広げて無駄にハードルを上げてしまったような気もしますが、今後も石動の冒険をお楽しみいただければ、筆者としてこれ以上の喜びはありません。


 これからも応援、よろしくお願いいたします。


(多少の書き溜めとプロット精査のため、「幕間」終了後はしばらくの間、更新をお休みさせて頂く予定です。悪しからずご了承ください。)

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