第17話 夕食後に

 ホテルでの夕食も豪勢な物だった。とても、学生が食べるような物ではなかった。でも、この街全体がゴージャスみたい。お金持ちしか、来れないのかも。


 でも、テルースは、何回か、ここに来たことがあるって、言ってたわ。そうすると、テルースの家って、とても、お金持ち?そうかもね。


 私は、食事が終わってから、一度、部屋に戻って、服を着替えたの。いつでも、テルースからのお誘いに出かけられるように、準備は万端、いつでもOKよ。


 暫く待っても、テルースのお誘いがない。もう、待てないわ。私が、準備を終えているというのに、何してるの。


 後、5分だけ。それで、来なかったら、私から、行くわ。テルースの部屋は、知っているものね。


 後5分って、思っていたら、いつの間にか、1時間も過ぎているわ。もうだめ、私から、行く。


 私は、部屋を出て、テルースの部屋に向かったの。テルースの部屋は、1つ下の階にあるの。だから、階段を探して、下に降りて行ったら、あの悪魔が立っている。


 それも、テルースの部屋の前に、門番みたい。何、しているの?何を見張っているの?あれ、誰か、人がやってくる。あれは、学院長。ゴールド学院長だわ。


 なぜ、テルースの部屋に、学院長まで、やってくるの。


 ゴールド学院長がやってくると、悪魔も一緒に、テルースの部屋に入っていったの。私は、そのまま、見張るしか、出来なかったわ。


 テルースの部屋で、何を話しているの。あの悪魔には、近づけたくなかったのに。


 「どうしよう。何を話しているのか、気になる。でも、あの部屋のドアからは、階段まで、ちょっと、遠いわ。うーん。気になる」


 2人がテルースの部屋に入って、10分ほどで、学院長と悪魔が部屋を出て来た。


 「意外に早かったわ。大した、話じゃ、なかったのね。後で、テルースに聞いてみよう」


 私は、学院長と悪魔が階段を下りていくのを確認してから、テルースの部屋のドアをノックした。


 「コン、コン。ユイカです。入ってもいい?」


 「どうぞ、空いているよ」


 私は、テルースの部屋に入った。あっ、ピアだ。私達2人になったと思い違いをしていた。ピアが居たんだわ。


 「こんばんわ。部屋で、待っていたけど、なかなか来なかったので、どうしたのかなぁって」


 「うん。ユイカを誘いに行こうと思っていたんだけど、急に学院長が話をしたいって。それで、部屋で、待っていたんだ。今、漸く終わった所だよ」


 「そうなの。大変だったね。それで、どんな話なの?」


 「明日の見学の事を言われただけだよ」


 「えっ、それだけ?それだけのために、わざわざ、学院長がやってくるの?」


 「本当だね」


 「本当に、それだけ?実は、違うの?私に隠しているの?」


 「うーん、どうしようかなぁ」


 「やっぱり、テルース。教えてよ」


 私は、テルースの傍に行き、腕を掴んで、振り回した。


 「ねえ、いいでしょ」


 「ユイカだけなら、いいかな?」


 「秘密にするから、2人だけの秘密にするから、


 テルースから、聞いた話は、暫く、2人だけの秘密になった。

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