橘しずる

第1話

漆黒にうごめく影

「暗闇を見つめてはいけない」

ざわざわと静寂の中に響きわたる呟き

ひたひたと、私のベッドに近づく足音

「動かないと………」

深夜の丑三つ時の寝室で、私は金縛りになり、もがいている

呟きは次第に耳元に近づく

「見つけた…ふふふ」

手入れのゆきとどいてない、ボサボサの長い髪の毛が私の上にふりそそぐ

「消えろ❗」

私は声にならない声で叫ぶ

「許さない……」

私の身体の上に乗っている影は、前屈みになり耳元で呟いた

ううん……

私は金縛りを解こうともがいている

ふと、金縛りが解けたと同時に、玄関に逃げた…ドサッと影がフローリングの床に転がった気がした

震える手でノブを動かす

「開け❗開いてくれ‼️」

ドアがキーと開いた拍子にゴロリと転がり出てしまった

「やっと開けてくれたね(⌒‐⌒)」

目の前に一人の女性が立ている

私は声が出てこない

彼女は別れた女性だった

「ひどいよ。さようならをするなんて」

「君は………」

私は彼女が三股していることを知り、別れた………しかし、彼女は本命の男性に振られて、自死をしたと風の噂で聞いていた…(なんで俺のところに来るんだ‼️消えろ❗)

「私ね……貴方が好きだったのに、私の話を聞いてくれないんだもの」

私の目の前に生気のない顔をくっつけてきた……私は遠くに空が白んできたのをぼんやりと見て、意識をとばした。



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橘しずる @yasuyoida

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