第88話 世界衝撃映像
聖世紀1211年夏 王都 冒険者ギルド アベル5歳
ガナルも真剣な顔になりラキログに言う。
「まず、これを見て欲しいんだ。
ガナルがイベルマから借りてきた記憶魔石を亜空間から取り出してテーブルに置く
そして右手で魔石に魔力を流す。
テープルの上に立体映像のように映像が投写される。
ラキログが最初はその魔道具にびっくりしていたが映像が始まると
腕を組んで真剣に見ていた。いや、目が釘付けになった。
そして映像を見ながらガナルが補足する。
「この幼いアベルが1人でギルドの指名手配中のオロチを倒しよったんだ。」
アベルは笑顔でガナルに
「1人じゃないよハンも一緒だよ。」
映像を見たロキログが目の前のアベルと映像のアベルを見比べながら
信じられないという顔をして上手く言葉が出てこない。
「これは・・・」
ラキログが口ごもっていると
ガナルがラキログにビックリするのはわかると頷きながら
「今の記録魔石はオロチのソロ討伐のものだ。あとで討伐証明部位の牙を渡すからアベルにオロチの賞金を出してやってくれないか。」
ラキログがまだ驚いた目をしながらアベルの頭を撫でてガナルに返事する。
「わかった。そのようにしよう。まだ冒険者に登録もできない5歳なのにAランクのオロチをソロで倒しよるか・・・我が弟が暗黒騎士を相伝すると言うのもよくわかるな。アベルならもしかしたら暗黒騎士になれるかもしれんな。」
アベルが目をキラキラさせながら
「僕、ラルクみたいになれるの?」
ラキログがニコニコしながらアベルに答える。
「かもしれん。あんまり喜んでるとイベルマやナデルは嫌な顔をするぞ。」
ガナルとラキログが大笑いしている。
そして続けてカナルが魔石に魔力を流し喋り始める。
「そして次の映像は完全に内緒なんだが、お前にも知っといてほしいんだ。この先アベルがいろんなことに巻き込まれた時にお前の力でそっと助けてやってほしいんだ。」
ガナルがかなり真剣な顔をしているのでラキログも真剣に受け止める。
「わかった。ガナルの頼みだ。ワシや弟はナデルやイベリアにも恩があるからな。出来るだけのことはするよ。」
ラキログがガナルに答えた。
ガナルが小さく深呼吸をしてから
「じゃあ次の映像を始めるぞ。これは心して見ないと気が狂うぞ。」
ラキログが緊張して唾を飲み込んだ。
「ゴクリ」
なぜかアベルも緊張している。
バエルはまだ仔猫のフリをしている。
ガナルが魔力を魔石に流すと聖教会との映像が流れる。
ラキログが先ほどよりも驚愕の顔で映像に釘付けになっている。
「この魔法は・・・だめだ・・・わからん・・・やばいな・・・アベル君は何者なんだ。これは君の魔法なのか?それともユニークスキルなのか?理解できんわ、こんな魔法。これは・・・幻術なのか現実に起こったことなのか・・・。」
ラキログが額に汗をかいたのでハンカチで丁寧に拭きながらアベルを見ている。
ガナルもラキログの動揺している態度に頷いて言葉を続ける。
「ラキログわかるぞ、その気持ちはワシもよくわかる。ワシも初めて見た時は頭がおかしくなりそうだった。アベルのこの力の説明はワシからしよう。」
そしてそガナルが龍王様の話や神託や前世のアルベルト・ラジアスの話や
バエルとプルソンの話まで細かくラキログに説明した。
ラキログはアベルのファンタジーの物語のような話を聞きながら
腕を組んで何か考えながらガナルの話が終わるまで黙っていた。
全部の話を聞いたあとにラキログがアベルに質問する。
「アベルよ。この平和な時代に異世界からの勇者でもないのにとんでもない力とスキルと知識だな。アベルは15歳になったらもう歴代勇者の力を簡単に超えてしまうが、君はその強すぎる力をどうしたいんだ?」
アベルは少し考えて恥ずかしそうに
「はい、僕はまずS級の冒険者になって、世界中を旅していろんな景色を仲間と見て、いろんな美味しいものを仲間と食べたりしたいです。そしていつか魔の森の奥地を踏破したいです。」
ラキログが頷いている。
ガナルが昨日と同じ質問をアベルにする。
「アベルは、本当に王様にはならないのか?」
アベルが顔を顰めて
「王様は嫌です。ずっと椅子に座っていて暇で疲れますから。」
ガナルとラキログが大笑いしている。
ラキログが満面の笑みでポンと自分の膝を叩いてからガナルに
「・・・気に入った。ガナルよ。わしはアベルを気に入ったぞ。」
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