第68話 VS聖教会 アルベルト
聖世紀1211年夏 バーク近く 海の見える草原 アベル5歳
「残りはおまえら4人だな。」
黒龍がズボンの埃を払いながら騎士隊長ベスケムに言う。
ベスケムは強がって黒龍に勝ち誇ったように
「バカめ、まだ大司教様の馬車の周りに護衛で騎士が30人ほどおるわ。」
黒龍小さく首を横に振って
「俺を倒すには足りんな。」
と黒龍が言った時にルマンド方面から大勢の白い鎧の騎馬隊に囲まれた
1台の純白に金装飾の豪華な馬車が近づいてきた。
「ほら、おまえらはもう終わりだ。」
騎士団長がそう叫ぶと騎士団長の後ろに馬車が止まった。
その様子を見ていた黒龍が首を横に振って
「これはこれは、親玉を探す手間が省けたな。」
2人の騎士が馬車の扉を左右に開く豪華な内装の中から
でっぶりと肥った綺麗な法衣を着たオークみたいな大司祭が登場する。
「何をモタモタしているのですか、早くその薄汚いドラゴニュートを粛清してしまいなさい。」
そして大司教は、大量の汗を拭きながらあたりを見廻して
まずいやらしい目でドラゴニュートのクリシアをじっとりと視姦した。
そしてアベルの後ろまで来ていたイベルマを見つけると目を細めて
大司教が自分の股間を握りながらイベルマの体を視姦した。
そして少女のようなアベルを見ると激しく興奮していた。
大司教が大量の汗と涎を拭きながら
「ベスケム、待て待て待て、皆殺しは待ちなさいよ。そこの女2人と銀髪の少年は殺すな。この私自らがたっぷり何度も可愛がってからなぶり殺すからな。本当にありがたく思いなさい。特にその人間の女お前は特別に私のおもちゃにしてあげるから光栄に思いなさい。」
と涎を垂らしながら薄汚い下卑た笑いを浮かべて念を押す。
「くれぐれも殺すなよ。神様からのご褒美だな。楽しみが増えるな。ぐへへへへ。」
騎士団員たちはいつもの悪い癖だとばかりに慣れた感じで対応している。
クリシアは虐殺されていった同胞を思い出して怒りと悔しさでずっと俯いていた。
アベルがイベルマの顔を見ると完全に怒っていた。
アベルは五歳にして初めて他人に対して抑えることのできない怒りを覚えた。
それと同時に大人の騎士団30人相手に自分がなにもできないことを悔しく思った。
バエルがアベルに俺がやろうかと言っている様だがアベルにはもう聞こえなかった。
父上と約束した母を守るのも自分にはもう無理だと思った。
僕にはもっと力がいる・・・世の中の理不尽を打ち砕く為の・・・
みんなを守る力が僕には必要なんだ。
僕は・・・力が欲しい・・・
もっともっと強い力が欲しい・・・
『ドクン』
アベルが自分自身の弱さと大司教に対する怒りを覚えた瞬間。
くらっとした眩暈のような感覚をアベルは感じて目を閉じてそのまま倒れそうになった。
知らぬ間にアベルの体の中の賢者の石から未知の力がアベルの全身に流れ込んでいた。
そしてアベルの意識とは別の意識がアベルの心に入り込んできた。
アベルが心の中に問いかける。
「君は誰?」
すると知らない声が優しく答える。
「アルベルト・ラジアスだよ。大丈夫かいアベル君。ここは私に任せてください。君のお母さんたちは私がちゃんと守ります。そこで今から起こることをしっかり見て私から学びなさい。」
アベルはなぜか素直に答える。
「はい、わかりました。」
アベルが知らない声を受け入れると
アベルの髪の毛が不自然な白銀から元の自然な黒髪に戻っていく。
目を閉じたアベルがゆっくり目を開けると
そこにはいつもと雰囲気の違うアベルが存在した。
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