リトルドラゴン冒険奇談 〜1000年後の世界へ自力で転生〜
下野ハヂメ
第1話 物語はこう始まる
聖世紀206年 ユミルバ冬 帰らずの森 ラジアス邸 アルベルト・ラジアス25歳
この物語を読み始めた人とはまた別の世界の話
魔術や天変地異のなどこの世界で起こる全てのことが精霊や神の仕業として
誰もその原因や成り立ちを理論立てて考えなかった時代が続いていた。
この世界の錬金術と言われる学問は、ある1人のあらゆる魔術に精通した天才魔術師が理論的かつ化学的な手段を用いて自然の摂理や魔術の疑問を解消していくうちに、とあることから卑金属から貴金属を精錬しようとした試みがはじまりだった。
貴族や同じ魔術師たちは錬金術なる宗教倫理にも反する怪しい学問ををバカにして
その天才魔術師を狂人扱いした。
しかしその天才魔術師の考えに賛同した一部の魔術師たちが
自分たちは魔術師ではなく錬金術師だと名乗り始めた。
そしてバカにされながらもそれぞれ様々な実験を自由に秘密裏に始めた。
名乗りをあげた錬金術師たちも最初は金属を変化させる実験が主流だった。
しかし、だんだんと金属に限らず薬や魔道具や人間の肉体や魂まで扱うように
エスカレートしていった。
そして一部の危険思想を持つ錬金術師が生命を復活させたり
新たに作り出す研究をはじめた。
そんな一部の倫理観のない錬金術師が現れたことによって
錬金術は悪魔の怪しい術として広く一般社会に認識されるようになった。
この世界の錬金術を始めた狂人と言われた天才魔術師・錬金術の祖
細い体に長い黒髪、漆黒の瞳、女性と見間違える程の美しき持った青年
その名は、アルベルト・ラジアス
ナジーバ王国の王室命令により数々の奇跡の秘薬や魔道具を作り出していた為
その実績により平民から男爵を陞爵したが、とにかく面倒な人間関係を嫌い
社交界にその姿を表すことは1度もなかった。
本当にアルベルトは実験以外興味が無かった。
魔術の研究と錬金術の研究と異世界から持ち込まれた魔道具や文化の研究に
明け暮れていた。
住まいもわざわざ誰もこないユミルバの帰らずの森の奥地に屋敷兼研究所を構えて
研究と実験にだけ時間を費やしていた。
ある日の朝食の後
窓の外を見ながら異世界人がこの世界で作って広めたコーヒーを飲みながら
誰もいない部屋でアルベルトは呟いている。
「嗚呼、もうすぐこの森にも雪が降りますね。私は冬は寒いから苦手なんですよね。本格的な冬になる前にやっておきたい実験が多過ぎて優先順位をつけて計画的にしないと駄目みたいですね。」
よく言えば物静かで何事にも動じない落ち着いている人
悪く言えば何考えているかわからないヤバい奴
錬金術に必要なため覚えた魔術も超一流で全属性の全呪文も普通に使えたし
オリジナルの魔法や禁呪魔法という危ない魔法も独自で編み出していた。
錬金術では賢者の石の製造や人工生命のホムンクルスの製造も成功していた。
いろんな事に無頓着で錬金術以外のことに全く興味の無い男だった。
自分の評価も金銭のやり取りも全て唯一の友人である賢者パブロフに任せていた。
実際、アルベルトと連絡を取る方法も賢者パブロフとの使い魔のやり取りしか無かった。
そんなことから王都では本当に実在する人物なのか?
パブロフの偽名じゃ無いのか?と貴族や商人の間で噂されていた。
しかし、現実に彼の作る魔道具や薬はどれも高品質の特級品であった。
周りの薬師や魔道具師たちはその秘密を暴こうと必死になって彼の真似をしたり
彼の所在を探し出そうとしたが、誰1人その答えにたどりつけるものはいなかった。
アルベルト・ラジアスの作り出す神の奇跡のような錬金術の数々を
当時、勢力を誇った聖教会関係者は許せなかった。
特に神が創り出すような物を錬金術という自分たちの知らない技術で
簡単に世の中に創り出すのが気に入らなかった。
そして教会での治療による法外なお布施の祈祷や回復魔法よりも
とてもよく効くアルベルトの薬が気に入らなかった。
それとアルベルト自身が普段から
聖教会の崇める自分達に都合の良い神など存在しないと言って
聖教会をインチキ宗教として教会に全く協力しなかったことも許せなかったことに
拍車をかけた。
特に国王がアルベルト・ラジアスを神に選ばれた天才と絶賛するたびに
この状況をなんとか打開せねばと聖教会幹部たちは焦っていた。
そこでまずは錬金術自体を社会的に悪の行いと印象付けるために
聖協会の説法や街での辻説法や布教の度に錬金術は神に逆らいしモノであると
信者やその街の一般人に認識させることに専念した。
錬金術は怪しい術で、人の魂を使うとか処女の生き血を使うとか
子供を誘拐してその子供の心臓を使うとか悪魔と交信しながら行う黒魔術の一種とか
ありもしない話を創作し広め続けた。
この時代、宗教経典で説明できない不都合なことを悪魔的な行為と位置づけて
神の名において徹底的に暴力で排除することが正しいされていた。
錬金術もその排除対象となりつつあった。
ここで錬金術に追い詰められていた聖教会へ場面が変わる。
パイプオルガンの音が響きわたる室内。
造られた神秘的な雰囲気もする室内
両サイドの何か物語の美しいスタンドグラスと
その正面に大きな金の長い髪の女神像が両手を広げている。
それを取り囲む煌びやかな装飾過多の蝋燭台などが設置された祭壇がある。
その前には20人ぐらいの真っ白に金装飾された鎧の騎士が綺麗に並んでいる。
その厳粛な雰囲気の中、昨晩の酒の匂いを漂わせながら
でっぶりと太った体から大量の油のような汗をかいた男がその部屋に入ってくる。
体が重いのか息が上がっている1人のブクブクの男がノソノソとみっともなく
祭壇中央へ向かって祭壇前の真ん中で立ち止まる。
白い鎧の騎士たちはその男に対して同時に跪き頭を下げる。
男は眩いばかりの金装飾された祭事服を着た聖教会の大司教であった。
そして大司教は騎士たちにゆっくり話しかける。
「うぉほん。ここに集まりし神の子たちよ。新しい神のお言葉だ。ありがたく聞きなさい。今朝、神は私にこう言われた。錬金術なる怪しい魔術をこの神の創りし世界から排除せよと。神の意思を実行する騎士たちよ、特に怪しげな錬金術で王家に取り入り、神の創りし世界を破壊するアルベルト・ラジアスを探し出し、神の御名のもとに粛清せよ!!! 私は皆がこのミッションを成功できるように君たちの一人一人の信仰心に寄り添い、君たちが神の力の最大限を発揮できるように、今から祈祷室にて君たち全員が無事に任務を終えて帰ってくるまで神との対話と祈りに入っておるわ。神は我らと共に。アルベルト・ラジアスを必ず粛清せよ。」
白き騎士団たちが一斉に立ち上がって声を合わせる。
「大司教様、必ずや神の御名において!!」
前列10名の騎士が剣を翳して一歩前に出る。
ついに大司教の命令により聖協会異端審問官強制執行騎士団が動きはじめた。
ナジーバ国の全錬金術師への見せしめとして
天才と言われるアルベルト・ラジアスを探し出して粛清という作戦が
発動された。
◾️あとがき
頭の中に浮かんでいる物語をさざくっと書きました。
自分がこんなにも文章が書けない人間なんだと結構落ち込んでいる。
読む方の想像力だけが頼りです。
学生諸君、勉強しっかりしないとこんなことになるぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます