二度と行かないだろう
週末にラブホテル難民になった事がある。
まあ、しょうがない事だ、需要と供給が常にいいバランスになるなんて事は難しい。
それでもどこか一軒くらいは空きがあるだろうと探した結果、なんとか見つけることができた。
しかし、かなり癖の強いところだった。
部屋がラブホテルというよりかは完全に寂れた田舎の旅館、しかも個人営業で廃業間近みたいなところだった。
でもそれはそれで面白かった。
「なんだよこれ、今どきこんなの見たことないよ」なんて一頻り盛り上がったが、その部屋に不備があった。
大したことではないが、そうはいえこの感じで眠りにつくのはなという感じであった。
フロントに電話するとすぐに替えの部屋を用意致しますと言われ、すぐに案内された。
そちらの部屋もとにかくレトロで、掛け布団なんて縮緬の布団だったりする様子。
ただ、こちらの部屋でいよいよおかしなものを見てしまった。
部屋に入って正面に般若の面があったが、その後見たら無くなっていた。
さらに、鬼の様な顔を一瞬だがはっきり見てしまった。
部屋に入ったのがもう明け方だった事もあり、その後仕事だったためそろそろ出なきゃと提案したが、連れの女はもう少し寝ていくと言っていた。
私はそそくさと準備をし、部屋を後にした。
もう二度と来ることはないだろうと思いながら。
そこから2ヶ月もしないうちに、そのラブホテルが火災で焼け落ちた。
あの日見た般若と鬼がなにか関係しているのだろうか。
だとしても般若は本来悪い意味で使われるものでもないと思ったが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます