(10)愛する事

その晩、悠真さんと父と僕は3人で愛し合った。

僕は、慣れない女性の衣服をまとい、父のされるがまま薄化粧をし、髪型を整えた。


「うん、これでいいわ」


と、父が満足そうに鏡の映る僕に言った。


悠真さんは、僕を見ると、


「ユウ。とても可愛い。本当に可愛いよ」


と言ってくれた。

前に可愛いと言ってくれた時も、とても恥ずかしかったけど、今度はもっと恥ずかしく、そして、もっともっと嬉しい。


悠真さんは、


「俺は、こんな可愛い二人に愛されて嬉しいよ」


と、僕達二人を抱き寄せた。



父は、悠真さんの固いものを愛おしく口に含みながら愛撫した。

僕は、悠真さんと舌を絡ませ、唾液がいやらしい音が出るのを楽しんだ。


悠真さんは、その大きな優しい手で、僕と父の体の隅々まで触り、それぞれ二人の感じるところを探り出すと、その部分を執拗に攻めた。


僕達はぞくぞくした高揚感に浸った。

あぁ、なんて幸せなんだろう。

とても長い時間、そんな風に体を摺り寄せ、舐め合い、体を絡め合った。


そして、僕と父はそれぞれの中に悠真さんの大きく固いものを受け入れ、沢山の愛を注いでもらった。




僕と父は、悠真さんの両腕に腕枕をさせてもらっていた。

僕はふと気になっていることを尋ねた。


「ねぇ、悠真さん。ずっと気になっていることがあるんだけど……」


そう、話を切り出した。


「あの事件の時、どうして悠真さんが真っすぐに僕を助けに来てくれたのか、不思議なんだ」


ずっと引っかかっていた。

だって、悠真さんは突入して真っすぐ僕が囚われていた部屋にやって来たのだから。


聞かされてた話だと、突入したら僕がたまたま捕まっていた。

ということになる。


悠真さんは、


「うん。そうだね」


と、ちょっと言葉に詰まっていた。


「これは本当は、秘密にしようとしていたんだけど……」


困った顔をしながら言った。


「実は、ユウが捕まっているのは分かっていたんだ」

「えっ!」


僕は驚いて声を上げた。

悠真さんは頭を掻きながら言った。


「うん、実は、ユウとナギさんにプレゼントしたキーホルダー。あれにGPSが入っているんだよ」


あっ、遊園地のお土産のお返しに貰った動物のキーホルダーだ。

いつも家の鍵をつけてポケットに入れてある。

そんな仕掛けが入っていたとは。


「それで、何か心配があるときいつも確認しているんだけど、あの時たまたま突入する時に確認したらユウがそこに映っていたから、もしかしたらと思って」


父も、僕も驚いていた。

なぜそんなものを僕らに持たせていたのかという疑問が沸き上がったからだ。


「悠真さん、どうしてそんなことをしたの?」


僕が悠真さんに尋ねると、悠真さんは照れながら言った。


「うん、俺はあの頃すでに、ナギさんとユウの事を好きになっていたんだ。そう、たぶん愛していた。だから、何かあったらすぐに助けに行きたいと思って、渡したんだ。ごめん」


そんな言葉は予想もしていなかった。


嬉しい。

とても嬉しい。


そんな頃から好きになっていてくれていたんだ。

父も同じ気持ちのようだ。


僕らは、悠真さんの両側からぎゅっと抱き着き、唇を合わせようとねだった。

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