Day16 レプリカ

 どれほど精巧で、どれほど本物のように見えても本物ではない。レプリカと呼ばれるモノをつくる人がいる。

 役者というのはこれに似ているかもしれない。

 小説、マンガ、シナリオ、戯曲——架空の人物も実在の人物も、どんなキャラクターも、本物オリジナルはそれぞれの物語のなかにいる。役者は演じるのみだ。

 本物ではないけれど、本物を伝えるために全力をつくす。自分をうつわにして、彼らの分身レプリカをつくりあげる。

 それが、役者わたしの仕事だ。


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