Day15 解く
「おまえ、人の話聞いてたか?」
「ええ。護衛の任を
「それがなんでこうなる?」護衛に荷物のごとくかつがれた男が声をはりあげる。
「あなた、やはりバカですね」
「バ……おまえ、主人にむかって」
「もう主人ではありません。任を解かれたので」
「む」
「もしも本気で私を逃したかったのなら、あなたは『自分を置いて去れ』と命令するべきだったんですよ」
「……あ」
もっとも、そう命令されたところで聞く気はなかったけどなと、元護衛の男は心のなかでつけたす。
「さあ、おしゃべりはここまでです。ちょっと本気で逃げますから、口はとじていてください。舌かみますよ」
「ちょ、なにす……このさき崖……!!」
卍
「お、おまえ、やっぱクビだ」かつがれていただけの元主人は息もたえだえであるが。
「だからクビならもうなってますって」大の男を崖下までかついできた元護衛は涼しい顔だ。
「改めてクビにする」
「ならもう一回雇います?」
「クビにするために雇うのか」
「そうなりますね」
元主人は真剣に悩んでいる。やはりこの元主人、本格的にアホであるようだ。などといっている場合ではない。
「休憩はおわりです。考えるのは無事に逃げきってからにしてください。ほら、敵さんはまだあきらめてませんよ」
「げっ。ウソだろ」
「走りますよ。それともまたかつぎましょうか」
「やめろ。走れる」
はたして二人はなぜ追われているのか。それもこれも、すべては無事に逃げきってからの話である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます