第14話 紺色の制服
事務所をあとにする僕とルナは、駐車場にある車の元へと足を進めていた。
車の乗り込み僕の隣でルナが車のエンジンをかける。ポケットから取り出したデバイスをハンドルの傍に設置する。
デバイスにインストールされているナビを立ち上げ、慣れた手つきで操作していく。
目的地の欄に文字が打ち込まれる。
【目的地:特別犯罪対策課風鳥支部】
デバイスの操作を終え、ルナの手がハンドルを握る。
アクセル部分に掛かっている足がゆっくりと踏み込まれる。僕らの乗っている車が大きくエンジン音を轟かせゆっくりと発進する。
自宅に戻って2人で対策を練るはずだった僕らが何故、その目的地に向かっているか。理由はほんの数分前に遡る。
――――――
会議室のある建物から外に出た僕らを彼が待っていた。
紺色の制服に着た2人の男性。先ほど会議室にいた人たちだ。
制服の上からでも分かる筋肉を持ち顎に少しの髭を生やした中年くらいの男性と爽やかな笑顔をこちらに向けるキリっとした眉毛が特徴的な中高生くらいの若い男性だ。さっきの会議でも真っ先に依頼を受けると発言した子でもある。
建物から出てくる僕らを若い男性は目にしこちらへと歩んできた。
「個人ギルドのルナ=アストレアさんですよね。このあと我々の支部で対策会議をするのですが、よろしければ一緒にどうでしょうか?」
「え~と、君は?」
名も知らない男性からの突然のお誘いに隣で首を傾げるルナ。
「私としたことが失礼しました。特別犯罪対策課風鳥支部所属の
ハッと大事なことを思い出すように口に手を当てる颯は、僕らに自己紹介を始めた。
「いいですよ!」
ルナは考えるそぶりすら見せずそのお誘いを了承する。
「では参りましょうか」
返事を耳にした颯はこちらへ手を伸ばす。しかし伸ばした手は、突如僕とルナの間から伸びた手によって届くことは無かった。
「その必要はない」
颯の手を遮った手の主だろう人の声が、すぐ傍から聞こえてくる。
振り返ると颯たちと同じ紺色の制服を羽織るように身にしている男性が立っていた。男性の顔を目にすると先ほどの会議でルナの隣に座っていた人だと思い出した。
「先に行ってろ。俺が案内する」
「了解しました。では支部でお待ちしております」
一礼して自分たちが乗って来たであろう車が駐車してある道路のほうへ歩いて行った。後ろに立つ男に対して颯が返事をした時、嫌悪感を抱いているような表情が見えた。
「はぁ~なんで君はいつもそう勝手かな~。松原くん」
颯の後ろ姿が丁度見えなくなったころ、隣でため息をつくルナが男性のほうを振り返る。
「ねぇルナ。この人は」
その男性とルナの会話の横で置いてけぼりになっている僕は、2人の会話を割く形でルナに声をかける。
自分が知らない人物に戸惑いの表情を浮かべる僕にルナが紹介する。
「彼は
僕の視線がルナから松原という男性のほうに向く。
顔を合わせると松原さんは、「よろしく」と手を差し出すのだ。差し出された手を握る。
その光景を目にしたルナが「歩きながら話そっか」と足を駐車場のほうへ向ける。
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