Ep.4"未だ見ぬ地"
最初は【生産】というスキルが出てきた。生産職まっしぐらになりそうだ。
というわけで二回目行きます。
ガラ……ガラ……ポンッ!
今度は経年劣化したような紙が入っていた。
「その紙だと一次スキルね。ガチャ限定ではないわ」
紙を広げる。
《一次生産スキル【鍛治】を手に入れました》
《【鍛治】を【生産】に統合します》
……。
「えーっとぉ」
「生産系スキルだったわね。【生産】は全ての生産系スキルをまとめたようなものだから統合されるのは当然ね。まぁ、大丈夫よ。経験値は入ってるから。それと、コインね。一人だけスキルを四つで初めて貰う訳には行かないからね」
こうなるのは俺が初めてではないらしい。ま、こんなこともあるだろう。
では、三回目。
ガラ……ガラ……ポンッ!
《一次生産スキル【錬金】を手に入れました》
《【錬金】を【生産】に統合します》
………。
「二回連続は珍しいわね。次は上手くいくわよ」
四回目。
ガラ……ガラ……ポンッ!
《一次生産スキル【大工】を手に入れました》
《【大工】を【生産】に統合します》
…………。
「さ、三回とは恐れ入ったわ。きっと次は大丈夫よ」
五回目
ガラ……ガラ……ポンッ!
《一次生産スキル【裁縫】を手に入れました》
《【裁縫】を【生産】に統合します》
……………。
「つ、次は大丈夫!」
六回目
ガラ……ガラ……ポンッ!
《一次生産スキル【細工】を手に入れました》
《【細工】を【生産】に統合します》
《【生産】 レベルアップ》
《【生産LvⅠ】→【生産LvⅡ】》
・
・
・
十九回目
ガラ……ガラ……ポンッ!
《一次生産スキル【調理】を手に入れました》
《【調理】を【生産】に統合します》
《【生産】 レベルアップ!》
《【生産LvⅡ】→【生産LvⅢ】》
「ははは。いくらなんでもこれは可笑しいだろ」
二十回目を目前にして俺は意気消沈していた。
ナナさんにもたれ掛かるようにして座り込む。
頭を撫でてくれた。
「そうね。運営に問い合わせてみるわね」
お願いしまーす。
もうさ、生産職で生きていこうかな。サービス開始からひと月経ったけど7つの生産系スキルをLvⅢにした人間はいないだろ。
謎の生産職小魚Kとして活動。うん。悪くないかも。
「あー、Kちゃん? このガチャね、生産系スキル限定ガチャだったらしいわ。彼らがお遊びでやってたものの片付けをしてなかったみたい。スタート時からLvⅢはお詫びでもダメだからLvⅢまではスキルの経験値取得量を倍にしてくれるらしいわ。今からのガチャは生産系スキル以外のスキルが入ったガチャにしたそうよ」
「ありがとうございます」
「それじゃあ次、回してみよっか」
二十回目
ガラ……ガラ……ポンッ!
《一次補助スキル【変装】を手に入れました》
【変装】 素顔を隠している時認識阻害効果(微)。元の性別、体型からかけ離れていくほど認識阻害効果が高くなる。
……やはりあれだ。謎の生産職ルートまっしぐらだな。あと、初期装備にベネチアンマスク追加しとこう。なんであるのか不思議だったけどこういうののためだったのか。
よし、次を回そう。
ガラ……ガラ……ポンッ!
《一次補助スキル【跳躍】を手に入れました》
【跳躍】 スキル使用時、高く跳べるようになる。ジャンプにまつわる行動に補正(極微)。
2つ目も補助スキルって言うのだな。まぁ、戦闘とか採取で役立ちそうだ。
次行ってみよう。
ガラ……ガラ……ポンッ!
《一次補助スキル【念力】を手に入れました》
――――――――――
【念力】
スキル使用時、遠距離で実体のある物体に干渉できる。
――――――――――
ふむふむ。なるほど。要するにこれさえあれば遠くからバレずにスカートめkゲフンゲフン。
ナナさんがなんかスカートを抑えて睨み付けてくる。読心術でも持っているのだろうか?
まぁ、次。最後行ってみよう。
ガラ……ガラ……ポンッ!
《一次特殊スキル【治癒体質】を手に入れました》
【治癒体質】 11-スキルレベル分毎にスキルレベル分HPを回復する。状態異常を1分ごとにスキルレベル×10の確率で回復する。
オートヒーリングということか。そこそこ使えそうだ。
「あら、運がいいわね。それはキャラクリエイト限定で手に入るスキルよ。名前の通り、それはスキルであると同時に貴方の体質になってるわ。だからスキルを封じられても問題なく効果を出すわよ」
え、そこそこというよりかなり使えるんじゃねぇか?
まぁ、そういうのは使ってから考えよう。
なんやかんやあったがスキル全部決まったな。
「そうね、次は武器を選んでもらおうかしら。まぁどれでもいいようなものだけどね」
まぁな。短剣にするか。戦闘力今んとこゼロだけど。あ、今のうちにベネチアンマスクも選んどこ。
「ということで次はステータスにステータスポイントを振りましょう」
ステータスかぁ。どんなのがあるんだったか?
「ステータスには体力のHP、魔力のMP、物理攻撃力のSTR、魔攻撃力のINT、物理防御力のVIT、魔防御力のMIN、素早さのAGI、器用度のDEX、幸運値のLUCがあるわ。
HPとMPは最初から10は振られているし、このあともレベルアップごとに5は必ず入るようにできてるわ。他も最初は1だけ振られているわよ。ここまでの話はついてこれてるかしら?」
オーケイだ。
現状、魔術が使えないのならMPやINT、MINに振るプレイヤーが居るのか?
「MPはスキルやアーツ等を使う時に必要になることもあるわ。MINは敵キャラが魔術を使ってくることもあるのよ。INTも将来的に魔術師になりたいような人は振ってるわね」
まぁ、結局好きにしろってことか。
「そういうことね。今回振ることの出来るステータスポイントは100よ。この後はレベルアップごとに5づつ貰えるわ。」
んじゃ決めますかね。
……ん? こ、この項目は!!
「あっ! それだけはやめといたほうがいいわよ。ステータスでランダムは本当に危険だわ。自分のスキル構成ややりたい事と合わなかったら大変な目にあうわよ。……やったプレイヤーも何人か居るけどね」
うん。やろう。
「ちょっ、私の話聞いてた!? 悪いことは言わないからやめときなさい! やり直しはできないのよ! 後悔してもs」
ポチッとな。
HP :20
MP :20
STR:11
INT:11
VIT:19
MIN:1
AGI:1
DEX:31
LUC:13
こ、このステータスの振り方は。ん、んん〜。反応に困るな。
器用度が高いから生産職としてやってけば問題ないか?
「はぁ。やってしまったものは仕方がないわ。言い忘れてたけど大半の装備はSTRまたはINTで装備出来るかどうかが決まるわよ。まぁ、どちらも11で装備できるものは初心者用装備以外にはかなり少ないけどね。これからは振り方に気をつけることね」
……これは、生産職としても生きていけない感じか?
まぁ、ハードモード頑張ろう。
「決めることは全部決めたからスタート地点に行ってもいいわよ。玄関からでたらそこはもうスタート地点である広場だから」
なんだかんだありがとな。まぁ、強く生きてみせるさ。
「というわけでいってきます」
「え、待って。挨拶それだけ?」
「イエスマム!」
そんじゃ、グッバイ。
扉を押し開く。……開かない。引いてみる。……開いた。
……うん。何も問題は無い。何も起こらなかった。そういうことにしよう。
俺はドアを開き未だ見ぬ地に足を伸ばした
俺たち(1人)の冒険はここからだ!!
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