第7話 ビギナーズラック

プシューーー


バースが開くと、俺は横っ腹と胸に違和感を持ちながら出て行った。

「短時間だとAMBは効かないんだな」

「お前は短時間のダイブをした事がないんだな。脳に負担が掛かる時間を超えるとオートで効くようになるのが通常の設定。・・・それは良いんだけど。な~んだこれはぁ!!?」

スーが指さす方を向くとディスプレイにさっきの勇者と勇者の剣が胸から背中に貫通しているモンスターと、途中で息絶えたのかモンスターの大剣が勇者の体を首から斜めに切り込んだ途中の姿が映っていた。よく見るとモンスターの横っ腹に見覚えのある傷がある。

「これ俺!?」そういえばこんな大剣を振り回してたような気が。「傍から見ると相打ちに見えるけど、勇者は倒してないよな?なっ?」

遠くの方から{ちくしょう!なんだあの『はぐれナイト』は・・・}声が聞こえた。

ディスプレイのモンスターと自分を交互に指さしてスーを見る。

黙って頷くスー。「珍しいけど、ない事は無い展開だから気にするな。順当にマップを進まないでレベルの高いモンスターに出くわす。なんて事は多々ある。(あの声の人もダイブして序盤でやられてるな)それよりポイント見てみ」スーに言われてポイント残高を見てみると。

「!!!???」目が飛び出るとはこの事だろう。ダイブする前と後で桁が二つも増えている。

「何でこうなった?」ダメージを与えたらポイントが入るんだろ?こんなに!?

「勇者一行を全滅させたんだからこの上ないポイントを稼がれたのではないでしょうか?」意地悪な言い方をする。「でも運が良かった、だ。そんなに稼げたのは今回だけだと思っておいた方が良いかな。誘っといてなんだけど、気を大きくしない事だ」

スーは俺にアドバイスと今日はもう家に帰るように促してきた。俺も胸と横っ腹に違和感があって落ち着かないから早めに休みたくて言われるままに帰路に着く。

「スーはまだ帰らないのか?」帰り際に問うと

「俺はまだ稼げてないからなぁ、あと1回位やってくよ」見送ってくれて、俺達はそこで別れた。

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