ユナイテッドバース

こころもち

プロローグ

第1話 『     』の生涯

残暑がまだ厳しい昼下がり、陽炎の先に見える一軒家の大間に、寝ている男を家族が囲んでいる。

みんな目に涙を浮かべて男の顔を見ている。

もうじき迎えが来るのだろう、男の顔は満足気だ。


男の目はもう開けられない。



子供の自分が友達と遊んでいる姿。

自転車で競争とかして遠くまで行ったなぁ


大泣きしている姿。

大好きなおじいちゃんとおばあちゃんが亡くなった時だな


社会人になった姿。

スーツのサイズが少し小さくて笑われたっけ。


恋人と喧嘩。

何であんな事で喧嘩したんだろうな、でも仲直りできた。


結婚。新しい家族が産まれた。・・・



これと言って突飛な事は無かった平凡な人生だったが、家族に看取られてなんと幸福な人生だっただろう。みんなありがとう。


大変だったけど幸せだった。



瞼の裏に今まで見た風景・出来事が写っては消えていく。

目尻から一滴の雫が伝う。耳からは家族が自分の事を呼ぶ声。が、だんだんと小さくなっていった。


























満天の星空の様に白い光が点として出てきて、増えていく。点が線に伸びて行き視界が真っ白になった。




アナウンス

【ご利用ありがとうございました。『     』の生涯は如何でしたか?またのご利用をお待ちしております。】


プシューーー


何かが動く音が聞こえて目を開けると、眩しくて目を細めてしまう。

「よっ‼お疲れ」そこには見知らぬ人が立っていた。

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