こじられせボッチの俺にも彼女ができた
@SY0630
プロローグ
俺、藤澤海翔が榊原佳奈に初めて会ったのは入試会場に向かう最中だった。
1月下旬。
俺は改札を抜けて入試会場に向けて歩きだした。
(さすがに寒いな)
さっきまで暖房のきいた車内にいたので余計に寒く感じる。
そこそこ人が多いのでぶつからないように歩いていると交差点で赤信号につかまったのでスマホをコートからだし時間を確認しようとするとケースのカードポケットにあるはずのICカードが無い。
(あれ・・・・・・改札を出るまではあったのに)
心の中で焦っていると不意に後ろから声をかけられた。
「これ落としましたよ?」
後ろを向くととても綺麗な少女がICカードを手に持ち話しかけてきた。
彼女は黒い長い髪を耳にかけICカードを差し出してきた。
ICカードを確認すると俺の名前が記載されている。
カードを彼女から受け取りスマホカバーのカードポケットにしまう。
「拾ってくれてありがとうございます」
彼女にお礼を言い信号が変わるのを待っていると小さな声で話しかけられた。
「これから試験ですか?」
「はい、そうです」
(さっきまでは感じ無かったけど少し緊張しているのか?)
彼女は少しソワソワしていた。
「君もこれから試験を受けるのか?」
「はい、この近くの城山学園に行くんです」
彼女はどうやら俺と同じ高校を受けるようだ。
「実は俺もそこをに試験を受けに行くところなんだ」
ちなみに俺たちが受ける学校は昔、洋裁女子専門学校だったそうだ。
今は時代の変化によって様々な専門知識が学べる学習コースが設けられた。
建築デザイン、スイーツアート、広告デザイン、外国語と言った学習コースがある。
「そうなんですね、もしよかったら一緒にいきませんか?緊張で落ち着かなくて誰かと話をしたいと思っていて」
「………………」
彼女の誘いに乗ろうか考えていると彼女が頬を膨らませ抗議してきた。
「私の話きいてます?」
「聞いてますよ。そうですね、僕も緊張して落ち着かなくて誰かと話したいと思ってましたので一緒に行きましょうか」
そんなやり取りをしているうちに信号が変わったので試験会場に向け一緒に歩き出した。
「あの学校駅から少し遠いし途中の坂かなりきついですよね」
「そうですね。僕も体験入学の時何回か上りましたがきついですよね」
などと話しているうちに会場についた。
会場の入り口で彼女とは別れた。
「お互いに頑張りましょうね」
「お互い受かるといいですね」
などと話し受付に行き案内係の指示に従い教室に向かう。
2月中旬。
今日は合格発表日だ。
俺は合否を確認する為にあのきつい坂を登り学校に来ていた。
合格発表なだけあってかなりの人数だ。
(もう少し遅い時間に来れば良かったな)
人混みが苦手な俺は少し後悔した。
上から自分の番号を探す。
俺の番号は『098』だ。
「095,096,097,098,098………あった」
合格だった。
担当者から必要な書類を受け取り家族に合格したと連絡を入れて帰路に着いた。
(彼女は合格したのだろうか)
彼女のことを考えながら俺は新たな生活に期待を抱く。
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