語彙力がない小説家が、擬似恋愛始めました!!
(´・∀・`)
第1話 書けない…
私は小説家です。小説家なんですけど
語彙力が有りません、頭が悪いです。私が国語のテストを真面目に受けて出た結果は、45点です。
いやー酷い今見ても酷い…
書けないんだよね小説が…小説家なのに、小説家なのにペンが動きません。こんな時は皆さんどうする?
有りますよね、作文の手が進まない時
私はですね倒れます。この頭を打った後の爽快感がいいんだよなぁ。空を飛んでみたいでプールに浮いていて、空が反転して、あー青春だなぁ…
私には青春のこれっぽっちもなかったんだよ。
うわぁ駄目だこんなんじゃ駄目だ、続き書かないと…
うぉえ流石に瓶で薬を飲むのは不味かったかなでも、しばらくしたら小説のいいアイディアが巡ってくるかもしれない…
…
…
気分悪い…死ぬ死ぬ⁈私は死ぬ!遺書だ遺書を書こう..最後ぐらい感謝の言葉を書かないと!!
『ゆ…ぁさン』
『ゆうさん!』
人が倒れた時みたいにびっくりしたような顔をしているのは、私の編集担当の光輝だった。色んな事に対して、大袈裟すぎる反応をするうるさい陽キャだ。そもそもなんでそんな顔をしているのか、私は至って普通に小説を…
書いてない!!
『おい!光輝!私の小説を何処にやった!!』
『えぇ…起きた途端にそれですか、いいですか先生ここは病院です。』
『は?』
『祐先生は薬の飲み過ぎで倒れたんです。また薬が抜けるまで、入院ですからね!』
完全に忘れてた…最近はペンの調子が良くて薬を過剰摂取しなかったけど、筆が止まった瞬間これだ…
『私また怒られる?』
『怒られるでしょうね、なんせ前退院してから一ヶ月も経ってないんですから』
『嫌だ、私は絶対にあの医者には会いに行かないからな!!』
『でも先生まだ小説完成してませんよ、そんな体で書こうと思ってるんですか?』
確かにその通りだが、あの医者にだけは会いたくない。
アイツは私という私を全力で壊しにくる暴走機関車みたいな奴なんだ。
絶対に会いたくない。
『嫌だ…私のこの行動は小説を作る事に必要なんだ…なのになんで…』
『あぁ泣かないでください、泣かせようなんて微塵も思ってないんですから…』
私のこの自分でもめんどくさいと思う性格のせいで、色々な担当者から嫌われてきたが、光輝はなぜか毎回病院送りになる私を宥めてくれる…
まぁ色々感謝はしてる。だがあの医者の所に連れて行くなら話は別だ、全力で抵抗してやると思ったが、体はいう事を聞かずズルズルと光輝に診察所に連れてかれた。
『また、ですか祐さん…入院代はご自分で払えますね』
『それくらいは自分で払える』
『はぁ前回の入院代誰に払って貰ったんですか?』
『…』
『いい歳してみっともないと思いませんか?』
『まぁいいじゃないか、私は生きて小説が書けてるし』
『光輝君が納期に間に合うか心配してましたよ。まぁ僕的にはどうでもいい事なんですけどね…』
『…ッッ』
呆れた顔をして言う医者に腹を立て、胸ぐらを掴んでやろうとしたが
光輝にまた心配されるのもめんどくさいので、辞める事にした。
病室に戻ると光輝が私の家から小説を書く為に必要な物を持ってきてくれていた。相変わらず準備のいいやつだ、ムカつく
私は早速小説を書く事を提案されていたが、医者との対話のせいで心底腹を立てていた私は、ベットに包まって寝た。
しばらくして意識が上昇してくるのと同時に、現実的な事を考え出してしまった。
『こうなった私はなにを言われても嫌な考えが止まらない、冒頭でも言ったが私は国語が苦手だ、親からも文系は向いてないと面と向かって言われたのが、トラウマみたいなもんだから、小説が書けなくなるとすぐ無気力になる。しかも私の小説は流行りのファンタジー恋愛からはほど遠い闇系の小説、ただただ人生の不満を語っている本など誰も読みたくはないだろう…』
『先生♪』
『うわぁいつからいたんだよ!』
『こうなった私は…からです!』
チッ全部声に出てたか
『先生!たまには暗い話しじゃなくて、明るい話とかどうですか?最近流行りの恋愛小説みたいな』
『あっあぁそうだな、たまには恋愛も悪くないかもだな、だけど私は恋愛なんてした事ないんだよ、実際の経験がないと私は文字に起こさせないから…』
『じゃぁ俺が先生の仮恋人になります!疑似恋愛ってやつですね!』
『は?』
このクソ陽キャついに頭でもおかしくなったのか?恋人?私とアイツが?
死んでもごめんだ、アイツには私なんかより良いやt
『いいじゃないですか!先生は恋愛小説が書けて、俺は先生と一緒に居られる!!』
『私達は男だぞ!!それにそもそも…』
『あーこの間の入院代返されてないなー』
『分かったよ!!やればいいんだろ!やれば』
結局、金の話を出された私は弱くアッサリと疑似恋愛を受け入れてしまった。
『恋人って具体的に何すんだ』
『まずは手を繋ぐ所からですね!』
そう言って光輝は私の手を握ってきた、童貞の私にも分かる恋人繋ぎというやつだ。
『どうですか先生?彼女になった感想は』
『何も変わんない…って!私が彼女!!』
『えっだって先生俺より背が低ィ…アッスミマセン』
こうして擬似恋人が成立したが、結局この日には一文字も小説が進まなかった。
-擬似恋愛二日目-
『祐さーんお見舞の方がいらっしゃいましたよー』
『…』
『そんな顔で見ないでくださいよ、先生が好きなザクロ買ってきたんですか、機嫌直してください』
『早速彼氏ヅラか?』
『まぁそうですね…あっ小説の元にしてくれますか?』
『しない』
あからさまに残念そうな顔をする光輝。ザクロは私の好きな農家のザクロで何で知ってるだと思ったが、薬を飲んで意識が朦朧としてた時に言ってたんだろうと思った。
『先生あーん♡』
『キモ』
『酷、でも食べないと回復しませんよ、ほら食べて食べて』
『急かすなよ…あーン』
『どうですか?』
『上手い』
流石私が好んだザクロと言ったところか、果肉が堪らなく甘くて美味しかった。これを食べてる時が一番幸せだ。
光輝にお礼を言おうとした途端、光輝が私の舌に齧り付いてきた。
『イ゛ッんーーん゛ンー死ね!あっちょ』
『あ、血の味しないですね』
『馬鹿!するか!血の味なんか!
はーこれじゃぁ恋愛小説じゃなくてホラー小説が出来ちまう…』
『まぁいいじゃないですか、これで先生の処女は俺が奪いました。』
『殺すぞ!キスだけで私の処女が奪われてたまるか!』
『えっ先生キスしとことあるんですか!』
『…ある』
嘘だ…勢いであるって言ったけど、本当はない。
『じゃぁ俺にキスしてください』
『は?』
今日はやけに耳が悪い気がする…コイツ今なんて言った?
『キスって…』
『出来ないんですか?』
『出来る!』
こうなったらヤケだ!私は光輝の胸ぐらん掴んで、おもいっきり自分の方に引き寄せた。結果二人の歯がぶつかって悶絶。
この日私はコイツに初めて処女を奪われました。語彙力の足らない私は作文用紙の隅にそう書いた。
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