第二話(発信)
中は普通の公衆電話とほとんど同じで、色も緑。変わった点と言えば青いボタンと赤いボタンがついていることだった。そこを触ってみても特に反応はしなかった。
とりあえず受話器を取って、お金を入れようとしたが、小銭の投入口が見当たらない。不思議に思っていると、「ガチャッ」と音がなり電話が繋がった。
「もしもし。こちら、恋の相談窓口です。本日はどういったご用件で?」
「あ、すみません。少し変わった公衆電話があったので、中に入って受話器を取ったら繋がってしまって、、、」
「なるほど。『恋の公衆電話』からですね〜」
「あ、はい。そうです。」
「お電話ありがとうございます。」
その声は初めて聴くのに、どこかで聴いたことがあるようだった。彼の言葉は、丁寧ながらも気さくで、大の大人のようにも同年代の友達のようにも感じられた。そしてその声で彼は続けた。
「この公衆電話では、名前の通り、あなたが抱えている恋の悩みに関してサポートします。」
「サポート?」
「はい!内容を話すと少し長くなるのですが、お時間大丈夫でしょうか?」
もちろん怪しいし、疲れていたので早く帰りたいという気持ちも最初はあったが、恋の話となれば別だ。怪しさは好奇心に包まれ、疲れはどこか散歩に行ったらしい。
「全然大丈夫です!」
「それはよかった。ちなみに、この公衆電話は電話代がかからないのでそこの所は安心してください。」
「分かりました。」
「では、具体的なサポート内容についてお話ししますね。」
「はい。」
ゴクン。緊張か高揚か、はたまた冬の寒さか。乾いた喉が唾を飲み込む。
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