第2話 【覇君賢王システム】

◇◆◇ 天魔神教てんまじんきょう 日月宮じつげつぐう 第六公子だいろくこうし 日月慶雲じつげつけいうん ◇◆◇


 システムの正体とは何なのか。この世界は本当に中華武侠ちゅうかぶきょう世界なのか。

 そのような疑問を解消するには今は情報が少なすぎる。いったん頭脳あたまの片隅にしまっておくしかあるまい。

 

 それよりまずもって、新たに追加された項目も含めて、システムの全容と詳細を再確認することとしよう。


覇君賢王はくんけんおうシステム】


主君しゅくん

 ・名前:日月慶雲じつげつけいうん

 ・身分:天魔神教てんまじんきょう教祖 第六公子

試練しれん

 ・チュートリアル1:達成済

 ・チュートリアル2:未達成(1/3)……報酬「???」「混元値こんげんち150」

  ・聖火拝謁せいかはいえつ:達成済……報酬「武功・玄魔養生功げんまようじょうこう」「混元値10」

  ・武学総論ぶがくそうろん活用:未達成……報酬「???」「混元値10」

  ・内功感知:未達成……報酬「???」「混元値10」

 ・『日々修練ひびしゅうれん

  ・運気調息うんきちょうそく(0/10)「混元値10」

  ・鳳声ほうせいたまわり(0/1)「混元値10」

武学総論ぶがくそうろん

 ・武骨ぶこつ

 ・武功ぶこう

◆***(未開放)

◆***(未開放)

◆***(未開放)


 現在あらわになっている項目は三つ。未開放の三つは、新たに開放された【武学総論ぶがくそうろん】と同様に、条件を達成することで開放されるのだろう。

 項目を選択することで、その詳細な内容が確認できるようだ。

 幼児の身としては、思考での操作が可能であることに本当に助かる。


◇【主君】

・本姓:てん

・苗字:日月じつげつ

・名 :慶雲けいうん

・年齢:2歳(UP↑)

・種族:人族

・身分:天魔神教教祖 第六公子

・血脈:天魔血脈てんまけつみゃく

・武骨:凡人之体ぼんじんのたい

・体質:超聴覚ちょうちょうかく

・武功:玄魔養生功げんまようじょうこう


〇詳細情報を閲覧する YES/NO


 この一年間何度も確認した画面だ。今日で二歳になるらしい。

 今回新しく『玄魔養生功げんまようじょうこう』を獲得したことで、武功の段が追加されている。

 よくわからない単語がそれなりにあるが、詳しい情報を知りたいときは、詳細情報の記載されたポップアップを閲覧することができるのだ。


〇【玄魔養生功】

 <分類>:心法しんぽう

 <概要>:呼吸・姿勢・精神を調ととのえることを目的とした養生功の一種である心法しんぽう。呼吸法により天地の気を導き、四肢百骸ししひゃくがいに巡らせ、丹田たんでんに蓄積する。

 <効果>:筋脈きんみゃくの構成を整え、筋骨きんこつを頑丈にし、穴道けつどう打通だつうを助け、強靭な臓腑ぞうふを作り上げる。身体の成長速度を高める効果も存在する。


 ポップアップを読むに、この『玄魔養生功』は、【武功】を習得することに適した肉体・【武骨ぶこつ】へと改良することを目的とした【心法】という武功の一種のようだ。

 この【武骨】や【武功】、【心法】については、後ほど詳しく触れるとしよう。


 次は、【試練】の項目だ。


◇【試練】

・チュートリアル1:達成済(2/2)……報酬「【武学総論】開放」「混元値100」

 ・状況把握:達成済……報酬「体質・超聴覚」「混元値10」

 ・情報収集:達成済……報酬「試練・日々修練」「混元値10」

・チュートリアル2:未達成(1/3)……報酬「???」「混元値150」

 ・聖火拝謁せいかはいえつ:達成済……報酬「武功・玄魔養生功」「混元値10」

 ・武学総論ぶがくそうろん活用:未達成……報酬「???」「混元値10」

 ・内功感知ないこうかんち:未達成……報酬「???」「混元値10」

日々修練ひびしゅうれん

 ・運気調息うんきちょうそく(0/10)「混元値10」

 ・鳳声ほうせいたまわり(0/1)「混元値10」


〇詳細情報を閲覧する YES/NO


 この【試練】の項目では特にわかりにくい名称が多い。


 何度も確認したチュートリアル1の【試練】は良しとして、新たに出現したチュートリアル2の【試練】について考察してみるとしよう。


 まず、すでに達成済みとなっている『聖火拝謁』の【試練】だが、これは心当たりがある。

 【聖火】とはおそらく、以前誕生の儀で見た墨色すみいろの炎のことだろう。

 天魔神教において【聖火】とは、始天魔がこの世に残した偉大なる痕跡であり、天魔神教の神物にして崇拝の対象であるらしい。

 わかりやすい言い方をすれば、聖遺物のようなものだ。


 次に、『武学総論活用』の【試練】であるが、これは後ほど【武学総論】の項目を開いたときに試してみればよいだろう。

 【武骨】や【武功】のこと、あるいは【心法】のことについても、詳しいことがわかるかもしれない。


 最後に、『内功感知』だ。

 これは『玄魔養生功』を活用すれば丹田に気が蓄積して内功となり、感じることができるようになるようだ。

 内功感知は内功を扱う上で基礎の中の基礎であり、一般にの修練と呼ばれるらしい。ちなみに内功の量は歳月で表される。


 【気】というファンタジーな概念に、年甲斐もなくワクワクとしたものを胸に感じるのだが、転生する前の年齢が分からない以上、まだ子供も子供、赤子である。胸の高鳴りくらいは許してもらおう。


 そもそも好奇心に老若男女など関係ないからな。うむ、完璧な理論だ。


 『玄魔養生功』のような外界の気【源気げんき】を取り込み丹田に蓄積する武功は【心法】に分類され、【心法】を使い、体の中で気を巡らせることを『運気調息うんきちょうそく』という。

 これが【日々修練】の『運気調息』につながるわけだ。


 このシステムは『玄魔養生功』を日々継続することを推奨しており、それが『日々修練』、すなわちデイリーミッションということなのだろう。


 ただ、もう一つの【日々修練】の『鳳声の賜り』についてだけは皆目見当もつかず、詳細を確認することにした。


〇【日々修練】:鳳声の賜り(0/1)

 目的:名君と呼ばれるに至るには忠臣が必要不可欠。

 使命:周囲の者に1回声をかけよ。


 ……なるほど。【覇君賢王システム】だから支配者としても育成されるわけか。


 このような方向性の試練もあるのだな。


・武功


 内功を用いた武術のこと。広義では心法、歩法、軽功などの内功を用いた技術すべてを武功と呼称することもある。

 剣法、槍法、刀法などの武器術や、拳法、掌法、脚法などの肉体を使った武功が存在する。

 また、火炎や雷を操る陽功、冷気を操る陰功、毒を操る毒功なども存在する。

 魔気を根源とする武功は魔功と呼ばれ、魔功を扱う者を魔人と呼ぶ。

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