【短編】シリウスが笑う夜
ばやし せいず
1.シリウス
――シリウスから「どうして」と尋ねられたことは一度も無い。
彼女は次の年が豊作になるのか不作になるのかを、
人間が一つの星の上で暮らしていること。人間が住まうこの星は、太陽の周りをえんえんとまわっていること。それらを教会がひた隠しにしていることも教えてくれた。
彼女は何でも知っていた。
誰かに「どうして」と尋ねる必要は無かったのだ。
*
ミラの掲げたランタンの灯が、
枝のような両腕を使って、彼女はゆっくりと
一見すると子どものようだが、肌は干からび、老婆のように
ミラは彼女の前で
「ありがとう、お兄様」
彼女は美しい声で礼を言い、口の両端をぎこちなく引き上げた。微笑んだのだ。
そして飢えた野犬のように、与えられた食料を
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