大好きな幼馴染
※心悠莉視点
私には大好きな幼馴染がいる。
……伶乃、今日も、帰っちゃったな。……私のこと、そんなに、嫌い、なのかな。
私は自分でそう思ってて、涙が出てきそうになるのを堪えた。自分の部屋ならともかく、こんな学校の授業中に泣く訳にはいかないから。
……私がコミュ障で、素直じゃないから、嫌い、なのかな。
考えたら、泣きそうになっちゃうのに、私はそう考えずにはいられなかった。
私は少しでも、心を落ち着かせるために、この前こっそり入れた伶乃のスマホの画面を覗くアプリを開いた。
こんなこと、犯罪だってのは分かってる。でも、これで確かめたかった。伶乃が私のことを本当に嫌いなのかどうか。……もし、嫌いなんだったら、諦めよう。……ほんとは嫌で嫌で仕方ないし、伶乃を誰かに取られるなんて、考えるだけで、心が締め付けられる。……でも、私が幸せにできないのなら、仕方ない、から。
そんな不安を他所に、伶乃のスマホの画面を覗くと、伶乃は惚れ薬の購入画面を開いていた。
……え、なに、これ。……凄く、怪しい、けど。
伶乃は賢いし、買うわけない。そう思ってたのに、私の予想とは裏腹に、伶乃はこの惚れ薬を購入していた。
……え。なん、で? ……恋は盲目ってやつ、なのかな。
誰に、使うんだろう。……私、かな。……そんなわけ、ないか。……伶乃には、好きな人が、いるんだ。
……そっか。……そっか。
私だったら嬉しい。私であって欲しい。もし、伶乃が私のことを好きで、私に、この惚れ薬を飲ませようとしているんだったら、これを飲んで、私も、素直に、伶乃に気持ちを伝えるきっかけになるから。
そう思いはしたけど、そんなわけない。私はもうこれ以上、想像したくなくて、スマホを閉じた。
すると、珍しいことに、伶乃からメッセージがきた。
【明日、家来れる?】
恐る恐る、トークアプリを開くと、そこには、伶乃からそんなメッセージがあった。
そんなわけない、そんなわけない。そうは思ってても、期待、してしまう。だって、こんなタイミングで、呼ばれたんだから。
【ん】
ほんとは、もっと感情豊かな言葉だったりで返信したい。でも、私には出来ないから、いつもみたいに、無愛想な返信をした。
【お昼ね】
お昼……惚れ薬、伶乃に届くのって、朝、だったよね。……もしかして、ほんとに……
【ん】
そんな期待を胸に、私はそう返信をした。
そして、ぬか喜びなのは分かってるけど、明日が一気に楽しみになってしまった。
もし、本当にもし、私のことを伶乃が好きで、惚れ薬を盛ってきてたら、どうせ、ほんとに効くわけないんだから、自分で、素直になろう。
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