第13話 水没した村
薄暗い茂みの中を歩いて急に視界がパッtと明るくなxるた事がるが、今ここでそれが起こっていた!眼の前にアスファルトが左右に引き均されていた。時々大型のダンプが甲の往来を脅かせていたが、甲は小学生だから軽く往なせた。
今見ている風景は裏山の山道から下りてきて麓にたどり付いて真東を観る方向に立っていて、先程大型ダンプカーが通り過ぎた道路が、南北に延びている。
目の前に大きなダム湖があって、その外周に薄緑の小学校で観る様なフェンスが設えて有るのは、明治38年に氾濫する湊川の河川工事を慣行した結果、鴉原ダムが開発された。
竣工当時はダム湖の外周は手付かずだったが、戦時中ミズを求めて群がる市民に良いことなど有るはずが無く、数百人の市民がダム湖に嵌まり命を落とした。
やがて終戦になり平和が訪れたダム湖に水遊びの子供や魚釣り客の事故で水難被害が後を絶たず市役所も水難事故防止対策として、学校用フェンスを設えた次第だ。
甲がフェンスを観ながら歩いて行くと、そこだけ大人がくぐれる様な大きな穴が開いており、甲は吸い込まれるようにダム湖の湖畔に侵入出来た。
フェンス内に立つ!
そこは別世界でつる植物が大きな緑の葉っぱを風に靡かせ、おいでおいでと誘っているようで、心躍っていた。
遠くからアブラゼエミの鳴き声が聞こえて来た。
オニヤンマ しおとれもん @siotoremmon
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