君の残像

@yoshika_micky

君の残像  

黄昏のレモンの島の初デート


海望むロケ地の校舎花吹雪


お遍路の通りがかりの植物園


待ち侘びし馴染みの店の初鰹


若葉風ロザリオの手に力込め


白蓮や余命わずかの君の影


点滴のチューブの先の夏夕日


ままならぬこと次々と雲の峰


君と見るこれが最後の紅葉かな


淑気満つ神社の札を病む君へ


弱々し電話の声や弥生尽


人の世ははかなきものや春波濤


好物の酒も柩へ聖五月


朴の花無聊の瞳晴らしをり


瞑目の君の残像青揚羽


叱られてばかりいたつけ蝸牛


覚えある煙草の匂ひ夕端居


よみがえる苦言のあまた星月夜


愚痴こぼす人欲しき夜の温め酒


君の名を消す電話帳金蓮花

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君の残像 @yoshika_micky

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ