恋と戦争は手段を選ばない。

@chauchau

第1話


 恋と戦争は手段を選ばない。


「今日は来てくれてありがとう。……えへへ、なんか照れちゃうな」


 待っているだけじゃ何も手に入らない。先手必勝で押せや進めやと突き進むんだ。……それが正論と分かっていても。


「……実はあたし!」


「悪いんだけど」


 勇気を振り絞ったあたしの告白を遮ったのは、呼びだした男の子。ばつが悪そうで、それでいて吹き散らしたい心が隠れていない顔で、彼は言う。


「俺さ、昨日彼女ができたんだよね」


「へ……へぇ……そ、そうなんだ……」


「おう。だから、丸川の気持ちは嬉しいんだけど無理っつーか」


「そうだね……うん、それはそうだね」


「てか、聞いてないの?」


「…………何が?」


 絞り出した声。

 かぼそくとも声を出せたことを褒めようか。出してしまったことを責めようか。


「俺の彼女は」


 予想とは、将来どうなるか、前もって見当をつけること。だから続く彼の言葉をあたしは予想しない。こうなると確信していることは見当とは違うから。


「姫路さんだよ」

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