岸辺 桃花

「おい!クサレヤンキー」


「おい…あいつだよ」


「あんな奴のどこが…」


「放課後、野球部の裏に来い」


「クズ」


「うわっ…近寄ったら私ら犯されるから逃げよ」


「音村先輩、空先輩と別れて下さい」


「絶対あいつより國枝くんの方いいでしょ」



「……………」



あ"あ"あ"あ"ーー!!うぜええ!!!


マジで何なんだよ!空とヨリ戻してから毎日毎日キモい男共に因縁つけられる


俺は別に何も悪い事してないだろ!ただ空とヨリ戻しただけ!なのになんでこんなに言われなきゃいけねーんだよ!


クソッ!全員ぶっ潰してえ!今すぐぶん殴って二度と口きけねえー様にしてえ


けど我慢我慢…卒業式まであと一年もない、どんな事があっても耐えてみせる


「音村!」


はあ…またか…


振り返るとめちゃくちゃ平凡な陰キャがいた


「何」


「空さんを脅して関係を持ったって本当かっ!」


……は?


「本当か、と聞いているんだ!!」


………はあ……病むわ、これ……どうせ何言っても意味ねーんだろーな


ここ半年くらいはずっと大人しかったのに…学校もサボらず勉強も頑張ってバイトだって必死にやっている


高校に上がってからは余程の事がない限り喧嘩はしなかった…そもそも人生で喧嘩を売った事なんてない…向かってきた奴をぶっ飛ばしただけだ


殴られっぱなしで舐められるのは誰だって嫌なはずだ、俺は嫌だからやり返したまで、よくやり返したら相手と同レベルとか言う奴はいるけどただ単に反抗する勇気がない、殴るのが怖い、相手にびびって何も出来ない腰抜けの戯言だ


自分一人だけで相手が複数人…この状況で反抗できる奴は同レベルなんかじゃない、少なくとも男としては格上だ


ガキの頃から喧嘩売られまくって反抗したら問題児、不良少年扱い…こんなん誰だって歪むだろ…


んで反抗せずに無視してたらやっぱり舐められ始めた、半年前までは俺と視線合わせるのですら出来ず俺の事話す事も出来ない奴ばかりだった…だけど今じゃこれだ


全く反応しないからアイツらは俺の事をすぐに舐め始めた、しまいにはこんな陰キャヤローにすら因縁つけられた


……あー考えたらマジでムカついてきた


いつもなら無視してたけど今回は少し反抗しよう…


「そんなんやってねーよ」


「嘘だ!!」


「嘘じゃねーよ、つかうるせえ」


「なんでお前みたいなクズに!空さんがっ!!」


「俺がクズ?なんで?」


「はあ?お前自覚ないのか?馬鹿だろ!」


「お前は俺の何を知ってんの?俺と同じ環境になった事あんの?」


「……」


「人から聞いた噂だけで俺の事判断してんだろ、クズの自覚?あるに決まってんだろ、俺と同じ環境だったらテメェみたいなのでもこーなるわ」


「過程が大事とか結果が全てじゃないとか綺麗事言う奴は沢山いるが俺みたいな奴に対しては結果しかみてくれない」


「なんでこーなったか、なんでこーしたかなんてお前みたいな奴らはどうでもいいだろーな」


「ま、他人に期待してねーからどうでもいいけど…」


「んで、俺みたいな奴が……何?」


「…………」


「はっ……だんまりかよ…」


「空が何で俺の事好きか教えてやろーか?それはアイツは俺の事をちゃんと知っているからだ」


「周りの意見で判断せず、自分が見たり聞いたりした物だけを信じる…その結果、俺を好きになった」


「つかお前…お前らか、マジでキモいわ、どんな神経してればこんな行動できんの?」


「うるさい!黙れ!」


「僕は空さんにいっぱい優しくした!頼まれれば何でもやって、ナンパから救った事だってある!空さんは僕の事すごい優しい人だねって褒めてくれた!だから僕の気持ちに気づいていずれは!!」


「は?ぷっ………まじかよ…笑える……」


「何がおかしい!!」


「優しい……プッフ……」


「優しいだけで女に好かれるワケねーだろ、しかもあんないい女…誰からにでも優しくされてるに決まってんだろ」


「ただ優しいだけの奴の優しさなんて全く価値なんてねーんだよ」


「しかも優しい…とか誰でも出来るアピールだし、自分に自信がない奴は 優しさ でしかアピール出来ないから仕方ないけどな」


「お前にいい事教えてやるよ、ドーテー君」


「女…特に若い女はな?男に引っ張ってほしいんだよ、多少強引でもいいから」


「いずれ自分の気持ちに気づいてくれるなんて思ってたら他の奴に取られるに決まってんだろ」


「………」


「強引で少し身勝手だけどたまに優しさを見せる…これが価値ある優しさ」


「つか、てめえ見てえな何の特徴もねー奴誰が好きになんだよ…夢見んなよ」


「…クソッ…」


「そんじゃーな、ドーテー君」



あー、スッキリした!ストレスが少し減ったわ!


たまには反論してみるのもありだな…よし、良い気分だし今日は久々に焼肉でも食いに行くか


「あーきーと!」


「桃花か」


こいつは 岸辺 桃花 (きしべ とうか) 俺の数少ない友人だ


ロングでハイライトが入っている綺麗な髪 パッチリとした大きな目 綺麗な鼻筋 少し分厚い唇 右の口元にほくろがありメイクも濃いめスタイルも細身だが出てる所はしっかり出ている


コイツとは高校からの付き合いでよく一緒に色んな場所に遊びに行った、がある日空にバレて二人で遊ぶ事が出来なってしまいそれからはある程度の距離感がある関係だ

 

「私もいるよ〜」


この頭がゆるそーな奴は 相馬 理衣 (そうま りい) 桃花の親友で長い付き合いらしい


金髪ロングでパーマをかけていてタレ目 優しくおっとりした美人だ、胸は翼並みにデカい…学校の男子は必ず理衣の胸で抜いた事があるらしい


「どこ行くん?」


「焼肉……………奢るよ」


「やったー!」


「さすが暁人クン、男前ーー」


それから焼肉を食べ終わり店の裏に集まった


「桃花何吸ってたっけ」


「キャスター」


「理衣は?」


「ラキスト〜」


「よこせ」


「はーい」


カチッ……


「あー、やっぱ濃いもん食った後の外で吸うタバコほど美味いもんはねーわ」


「だよねーマジ最強!」


「うんうん」


タバコを吸い終え…


「んじゃ解散で」


「………」


「あれ?まだなんかやる?」


そう言うと理衣が携帯の画面を見せてきた…そこには…


「これ…学校にばれたらやばいよね?」


「なんで…それを…」


「空と復縁した時、絶対ヤると思ってつけてたんだ」


「なんでそんな事を…」


「なんで?そんなの決まってんじゃん!暁人…アンタをウチのもんにするためだよ!」


「ずっと狙ってたんだから!やっと空と別れたと思ったのにまた……」


「だから、もう正攻法では無理だと思ってさ、やっちゃった」


「頼む……やめてくれ、服とかコスメ買ってやるからさ…」


「そんな物で釣れるワケないじゃ〜ん!暁人クンもー諦めなー」


理衣が後ろから抱きつき服の下から手を入れて来て俺の身体を触り始めた


「やっばあーー!エロすぎー暁人クンのカラダー!」


「マジで枯れるまで犯してあげるね〜」


「う…あ」


「今日ウチの両親居ないからウチの部屋行こうね」


「…ゴムは?」


「あるよ…けど使うかどうかは暁人の態度次第」


「……くっ」


「それじゃあ〜行こー!」


桃花の家へ歩き出した…




「高一からの思い…全部ぶつけて犯しまくってやる…覚悟しろよ」

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