第18話 小さな小指に込められた思い

……マ……マ……




(隣に座っていた実の息子と告げられたシャルルは、目を擦りながらセシリアを見つめると、俺とセシリアを交互に見つめて来た。そして目を覚ました実の息子に対して、セシリアは再び告げた)




シャルル…この男の人があなたの本当のパパですよ…沢山甘えなさいね……決められた時間内で…精一杯……ね…




(セシリアの最後の言葉は、シャルルには聞こえない声で囁いていた。そしてシャルルは、セシリアの言葉を聞くと、俺の事を不思議そうに見上げて来た後に、小さく告げて来た)




…本当に……パパなの…??…




(シャルルの言葉に俺は笑みを浮かべて頷くと、彼を膝の上に座らせて髪を優しく撫でながら語りかけた)




ああ、そうだよ……。シャルル、パパの代わりに、ママの事を守ってくれるかな?必ず、お前達の事を迎えに行くから…それまでの間…ママの事…任せてもいいかい?もちろんパパも…、この国で精一杯…お前達の事を愛して守って行くからね…。でも、それには時間が掛かるから…待っていて欲しいんだ…




(セシリアは目元をハンカチで抑えながら、涙を流して俺と息子の会話を聞いていた。そしてシャルルは俺の言葉を聞くと、小さな手を俺に掲げて来た)




…指切りげんまん…ママから教わった…。約束事をする時はこうするんだって…教えてもらったの…




(俺はシャルルの言葉を聞いて、セシリアの方を見つめると、無言のまま頷いて来た。そして俺は、シャルルの小さな小指と指を絡めると、約束の指切りをした)




…ふふっ…よかったわね…シャルル…パパと…約束事が出来たわね…えっ!?




(俺と指切りを終えると、シャルルはセシリアにも先程指切りを終えた小指をセシリアに向けた。その仕草に、ママともすると、意思表示をして居るなのだなとわかった俺は、セシリアに視線を向けたまま笑みを浮かべた)




わかったわ…。そうね…パパが必ず迎えに来てくれるおまじないを、ママともしましょうか…




(セシリアはシャルルの前で屈むと、息子に笑みを浮かべて指切りをした。そして家族三人で約束事を終えると、俺は立ち上がってシャルルを肩車して、店内を三人で散策し始めた。シャルルが落ちないように、セシリアは息子の背中を支えるように寄り添って、俺達は、幸せな一時を満喫し始めた)

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