【完結】最強転生者のゆかいなスローライフ生活 ~戦いに巻き込まれるけれど、モフモフとハーレム付きのスローライフに意地でもしがみつく~
1-26. 樹海の真面目な調査だと思っていたらそこそこ楽しかった(1/5)
第1部3章 森人(エルフ)の姫リゥパの登場
1-26. 樹海の真面目な調査だと思っていたらそこそこ楽しかった(1/5)
ナジュミネの家族に結婚の報告をしてから、1週間ほど経過していた。彼女には、新しい部屋も与えられていて、自分の城から衣服や装飾品、いくつかの調度品などを持ち込んでいる。
「いつもながら清々しい朝だな」
ナジュミネは日課の朝のランニングを終えて、シャワーを浴びた後だった。彼女はしばらくしてダイニングにやってくる。
「ミセス。朝食をお持ちしました」
アルは山吹色の毛並みを揺らしながら、妖精たちとともに朝食を運んでくる。
「ありがとう、アル。妾は旦那様のお世話係側でもあるのに、すまない」
ナジュミネは上が深紅、下が黒の軍服姿で、後頭部の上の方でまとめたポニーテイル姿が活発的な印象を与える。
「とんでもないです。マイロードのミセスにお仕えできることを喜びに思っております」
ナジュミネにはアルが仕えることになった。
アルは普段、樹海の不法侵入者を取り締まる警備隊の総隊長のためか、家の中では仕事がほとんどなかった。そのため、今回の抜擢をとても名誉なことであるとして、これまで以上に活き活きと働いている。
「ナジュ、おはよう」
「おはよう、旦那様」
少し遅れてムツキがダイニングへとやってきた。彼も彼で日課のトレーニングを終わらせた後、ナジュミネと入れ替わりでシャワーを浴びてここに来た。
「ご主人、朝ごはんニャ。今日はこの仔たちにお任せしているニャ。よろしくニャ」
「よろしく」
「ワン!」
そして、ムツキとナジュミネが朝ごはんを食べながら談笑をしていると、次にユウがクーにまたがって勢いよく下りてくる。
「ムツキ!」
「おはよう。って、大声でどうした?」
「どうしたもこうしたもないよ! なんで、ナジュみんや私よりもモフの方が多いの!」
そう、戻ってきてからのムツキの夜のお供は、モフ4度、ナジュミネ2度、ユウ1度といった具合だった。ユウ自身は週1でも構わないのだが、この比率に違和感を覚えていた。
「ノーモフ! ノーライフ!」
「いや、なくせって言ってないよ?! 人の話聞いてる?」
「ユウは人じゃなく神だろう?」
「そう思うなら、もっと、話を聞いてよ! 神様だよ?」
「すまん。ここは譲りがたい!」
「まあ、二人とも落ち着くんだ。せっかくの美味しい朝食が冷めてしまう」
ユウは不平不満を漏らしていたが、モフモフ第一のムツキは頑として譲らなかった。彼のモフモフへの鋼の意志はいささか固過ぎるようだ。
「ムツキ~。そんなこと言わないで。ね? ユウからのお願い。ね? ね?」
ユウは押してダメなら引いてみるの要領で、怒ったような雰囲気から一転して子どもが甘えるような声を出して、優しくお願いをした。
ムツキはお願いされると弱い。
「うぐっ! そこまで言われるとな。分かった。善処する」
「善処って言葉は信用できない。絶対にだ。大人はそうやって誤魔化すんだ」
ユウはやけにキリっとした表情でそう返した。
「いや、ユウがいち……分かった。週でモフ3度、ナジュ2度、ユウ2度でどうだ」
ムツキはすんでのところで言いかけたことをやめ、諦めたような表情でユウにそう提案する。ユウは思わず顔がほころんだ。
「え。私の回数を増やしてくれるの? え、本当? 嘘、本当?」
「危ないから、動くなら下りてほしい」
ユウが小躍りを始める。あまりにも動くものだから、クーはユウを下ろしてしまう。
「旦那様」
ナジュミネが真っ直ぐにムツキを見つめながら、少し低めの声で呼びかける。
「ナジュ、どうした?」
ムツキがナジュミネを見つめ返すと、ナジュミネは頬を赤らめながら少し言いづらそうに、だが、確実に口を動かして言葉をつむぎ始める。
「妾もその……添い寝でもいいから、増えると嬉しい」
ナジュミネは最近、ユウの指導もあってか、素直に思いを伝えるようになってきている。ムツキは鈍感とまではいかなくとも敏感でもないので、正直、言われないと分からないことの方が多い。
「……週でモフ2度、ナジュ2度、ユウ2度、モフ&ナジュ1度でどうだ。モフ&ナジュは添い寝だけだ」
「……ありがとう」
ナジュミネは恥ずかしいからか、もうほとんど声が出ていない。微かに聞こえる声で礼を述べていた。
「にゃー……」
「くぅん……」
「ぶぅ、ぶぅ!」
それを聞いていた妖精たちも主張を始める。
誰も彼もがムツキを好きなのだ。
「ぐっ。難しい! そんな目で見ないでくれ! ほかのところで埋め合わせするから」
ムツキは朝から大変である。
「あ。じゃあ、私もモフりたいから、1回は添い寝のモフ&ユウでもいいよ?」
「本当か?」
頭を抱えていたムツキがユウの言葉に救いを見出した。
「その代わり、添い寝の時は今の姿ね?」
ムツキはその一言で救いを掬いに感じた。
「あー、うーん。絵面がなあ……。まあ、添い寝ならOKか……?」
ムツキは別の心配ごとに頭を抱え始める。いつまでもいろいろと忙しい男である。
「ご主人はいつも大変ですニャ。ところで、仕事の話もしていいですかニャ?」
ケットはいつの間にかムツキのそばに戻ってきていて、そのように彼に訊ねた。
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