1-17. 帰らせると思っていたらそうならずに賑やかになった(2/5)

「ナジュみんは、とびきりのハーレム要員だよ! ただし、2番目だからね!」


 間髪入れずにユウが口を開いた。


「ハーレム、多妻制度か。そうだった。妾は2番目だったな。1番目は?」


「もちろん、私だよ!」


 ユウは自信満々に胸に手を当ててそう答える。


「なるほど。ユウ様か。ん? ……まさか、既に?」


「ナジュみん、鋭いね。もちろん、済ませてあるよ!」


 お互いに言葉は濁しているものの意思疎通は図れているらしい。


 そして、ナジュミネとプロミネンスはユウのその発言に今までにない衝撃を受けた。


「あー、ムツキよ、その、なんじゃ、多様性というものをな、否定する気まではないが、その何と言うかのう。まあ、そうじゃな、相手が神とはいえ、えーっとじゃな、その容姿を相手にお主は、そのなんじゃ、そう、えー、あれを?」


「……旦那様は、ペ」


 プロミネンスは濁しに濁しながら話そうとし、ナジュミネはド直球にその言葉を告げようとしたので、ムツキは慌てて首を横に振った。


「おおい! 待て、待て! かなり誤解がある。たしかにユウとは経験がある。ただ、ユウの大人状態だ。断じて、今のこの状態ではない。神に誓って」


「まあ、目の前の私に誓うなら、どう見ても5,6歳くらいの幼女だよね」


 ユウは意地悪な笑みを浮かべながら、ムツキをからかう。


「からかいすぎだろ! これはひどすぎる」


「あはは、ごめん、ごめん。私はこれでもよかったんだけど、ムツキがどうしてもっていうから、仕方なくね。する時はこれくらいかな?」


 ユウはそう言うと光を放ちながら徐々に大きくなる。


 やがて、現れたのは20代前半の容姿になったユウだった。髪の毛は金色の長髪が神々しく光り、顔立ちはどこか少し幼さを残しながら、身体はナジュミネ同様かそれ以上に美しいプロポーションをしていた。


 服装はいつもの人形のような服装より少し大人びた水色のドレスを着こなしている。まるで中世の貴族を思わせる容姿だ。


「なんと神々しい。そして美しい」


「さすがは神の御業じゃな。見た目が自由とは」


 ナジュミネとプロミネンスはユウを凝視したまま動けなくなっていた。


「普段は省エネでこの姿だけどね。5~10歳が一番動きやすいのよね。それ以下だとよく転んじゃうし、それ以上だとお腹空きやすくて。ちなみに部分的に成長することも可能だし、ムツキのリクエストには何でも答えてあげられるんだよん」


「まあ、誤解が解けて何よりだ。だいたい、最初したときは俺ももっと小さ」


「ムツキもそれ以上はやめるんじゃ。そっちもそっちで危うい。まったく……神というのは、貞操観念が少しわしらとはズレておるようじゃの」


 プロミネンスは冷や冷やした様子でムツキの口を止めさせた。


「いや、俺は神じゃない。人族だぞ」


「人族? どちらかと言えば、神に近い存在だと思うがの」


「人を辞めたつもりはないぞ」


 ムツキはプロミネンスのその言葉に全身で否定をして、ユウに一緒は嫌なのかと迫られて困り始めていた。ナジュミネやケットはそれを楽しく見ている。


「ここに、創世神、創世神を超える男、元炎の魔王、そして、あの妖精王がいるのか。まさに、触らぬ神に祟りなし、とやらじゃな。」


 プロミネンスは小さく独り言を呟いた。

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