『ハート・オブ・シティ』 下の7


 大椎院やましいんなんていう、まるでお寺みたいな意味不明な名前を、なぜ父が付けたのか、母が異議を唱えなかったのは、なぞだ。


 どちらも、プロの預言者と占星術師だった。


 もっとも、それでは、あまりに不安定なので、小さな、食堂を営んでいて、けっこう両立して流行っていた。


 なにか食べたら、見料は無料だった。


 あまり、途方もない予言や予想はしない。


 予言らーめんや、終末カレーが流行っていた。


 滅多に、だが。たまに、びっくり予言をしたが、ほとんど当たったらしい。噂だが。 


 右側に帰ってはならぬ、といわれたから、遠回りだが、左から帰った客がいて、右側では、直後トラックが突っ込んだとかがあったとか。


 赤血警部補は、ぺらぺら時代から、良く通っていたが、目当ては、あねがさばあだった。


 予言なんかは、信じなかった。


 あねがさばあは、両親を越える才能があったが、弟は、才能なんてものではなくて、超天才だった。


 あまりに、ぶっとんでいたため、怪しがられ、いつの間にか居なくなった。


 国際的秘密組織に協力して、『大くまくま連邦』が、北極海に仕込んでいた、反陽子爆弾を探しだし解除したのは、大椎院だったらしいとされる。これだって、うわさだが。


 あねがさばあは、赤血警部補に伝えた。


 『あの、大くんか? まさかな。』


 警部補は、まだ、少年だった大椎院を知っていた。口数の少ない、おとなしい、なに考えているのかわからないやつだった。


 『ふうん。しかし、それなら、コンタクトが取れないか? どぞ。』


 このふたりは、たしか、テレパシー通信ができたはずである。


 『さて、なんだか、生体バリヤーを張り巡らせていて、侵入出来そうにないんだなあ。あいつは、ねずみさんとか、簡単に操れる。どうぞ。』


 『ありま。そうか。なら、岩盤とコンタクトしているのか?』


 『さあて。確証はないが、そうだろうな。双方向か、読み取ってるだけなのかは、わからないよ。』


 『ふん。核心に近付いたな。』


 警部補は、ひとりごちた。


 警部補には、あるまじき発想である。

         


       🤯


 

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