地底

HAL

オープニング

ーーーーーこの世界で人類の思い通りにいく場所は、無い



「今朝未明、ソビエト連邦の調査書から奇妙な文章が発見されたと、アメリカ政府広報官が報じました」


「これは、事実であれば世界的な大発見です」


「現代の地質学がひっくり返るかもしれません」


ーーーーー科学には、越えられないものがある


「アメリカ政府は、来月にもフロリダ州にて掘削を開始し、5年後には調査隊が派遣できると報じました」


「……みて下さい!巨大な掘削機と…大量のトラックが掘削現場へ向かっています!」


ーーーーーそれでも人類は科学を信じる


「完成した穴の深さは約13000メートルで、直径は6メートル。耐熱、耐圧の加工が施された最新の高速エレベーターが付いてます」


「……アメリカの調査隊が、アメリカ軍の護衛部隊とともに降りていきます…」


ーーーーーまるでそれがすべてであるように


「現在、国際連合にて地底世界に関する様々な国際法が話し合われています。日本からは…」


「テロ組織タリバンによって、アメリカニュージャージー州の地底に続く第二ゲートが自爆テロによって破壊されました。これに対しアメリカ政府は、軍隊による……」


ーーーーーこの世界の真理など、誰が知っていようか


「…えーっと…つまり…どういうことなのでしょうか…?」


「人類は、地球とは何か、自然とは何か、全然わかっていなかったのです」


「人類未踏の地は月でもエベレストでもなく、この大地の下にあるのです」


ーーーーーこの空も星も歴史も


「この星を、私たちはまだ知らなかったのです」


ーーーーー所詮は見えない何かに作られた想像フィクション






「近年、各国による地底世界の領土をめぐった争いが絶えません。イスラエル、クリミア半島、南シナ海、朝鮮半島。こういった紛争は全くもって解決できません。また、掘削工事の失敗により国家が破綻した国も少なくありません。よってここで、賛成多数により地底条約を発行し、これより地底世界を人類共通の資産とします」

「拒否権は本件に限り通用しません。これは環境問題と並ぶ世界の新たな課題なのです」

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