マッハ少女、世界を無双する!
きよすいようはねた
走り出します!
第1話 逃げます!
私はアンネローゼ・リエッタ、7歳だ。
どこにでもあるような平民の家に生まれた女子。
今の私はあまりに無力だった。
「やーい!ぼっちめー!」
「はははー、それそれそれー!」
「逃げろ逃げろー!」
言いながら近くに住む男の子たちは石を投げながら私を追いかける。
「うわぁぁぁん!やめてよー!痛いよー!」
男の子と暴力沙汰で勝てるはずもない私は逃げるしかできない。
そうして何とか家に辿り着いた。
「アンネ!?どうしたの!?その傷は!?」
「お母さん・・・」
「何があったの!?」
「・・・・・・」
本音を言えばすぐに本当のことを言いたい。
でも、できない。
近くに住む男の子たちは、この街『パーネスト』の重役に就いてる親を持つ子供たちだ。
私がここで本当のことを言えば、この優しい母と、今は仕事で出かけているが優しい父は今日にでも彼らの家に行き怒鳴り込んでくれるだろう。
でもこの街は辺境の街で、国としての法律も厳しいが、それ以上に権力によって支配されている。
ゆえにそんなことをすれば、あらぬ噂を流されて私たち一家はたちまち路頭に迷ってしまう。
小さい幼子でありながらも、私にはそれくらいを理解できるだけの理解力はあった。
「ご、ごめんなさい・・・道端で転んじゃって・・」
「もー、女の子なんだから傷を作っちゃだめよ?気をつけなさい?」
「はーい・・・」
務めて明るく返事をするしかない。
この世界は、人がいて、亜人がいて、魔族と呼ばれるものがいて、魔物がいる。
基本的に大きな国家を形成しているのは人と亜人達だけだ。
魔族はというと面積だけで見れば大きな国家と言えるだろうが、一人一人が異常に強すぎるため、それぞれ群れることは基本的になく思い思いに生きているらしい。
国家を形成するために、一応上の方に立つ人たちは、それ相応の纏まりを見せているようだ。
反面人間や亜人たちは個々の強さは、それほどじゃない。
何十年に1度勇者なる者や聖女なる者が現れたり、凄まじいほどの剣の腕を持った者が現れ『剣聖』や『剣豪』などと呼ばれる人たちがいたりするそうだが・・・
辺境の街に生まれた私には特段関係のないことだ。
どちらにせよ個々の強さは魔族に比べれば圧倒的に弱い。
だからこそ個が強い魔族に侵略されないようにするために、大きい国家を形成したり、小さな国家は連合などを組むことで自国防衛に努めている。
亜人たちも人間に混じりながらそれぞれの国家に属して生活しているといった具合だ。
そしてこの世界ではスキルやステータスという物がある。
それらはその人が今まで歩んできた人生の中で条件を満たせば徐々に強くなるという物。
というのもこの世界には魔素が満ちており、そのため魔の動物・・・魔物が生まれる。
人間も魔素を間接的に取り込むことができるが直接的にはできない。
人間が魔素を取り込み強くなるためには一度に多くの魔素を取り込まないといけないのだ。
なぜなら人間は魔素の取り込みにおける効率が非常に悪いのだ。
その人間が魔素の吸収効率を上げる方法は2つに1つだ。
1つはありとあらゆる行動で人間も魔素を消費する。
消費した魔素はこの世界に満ち溢れている魔素によって補充される。
ただし人間のステータスの各種類ごとに魔素の貯蓄が分かれているそうだ。
即ち力仕事をすれば、力仕事の魔素タンクのようなものが消費される。
そして回復する際に、より強い力を手に入れようとその上限を少しずつ伸ばしながら回復するといった形だ。
そうやって地道に自分のステータスを強化する方法がある。
これよりも効果の高い魔素の吸収が魔物の討伐だ。
魔物は基本的に害悪をもたらす存在だが、物によっては食料になるらしい。
ちなみに全ての部位が食用になるわけでは無いが、強い個体ほど素材として美味い個体になるそうだ。
ワイバーンとかはかなり美味いらしいが、逆にかなり強いので討伐できても平民がその味にありつくことは基本あり得ない。
魔物を倒すと魔物が蓄えこんでいる魔素が一気に放出される。
急激に、かつ大量の魔素が放出されることによって、近くにいる人間はそれを取り込んで回復できるわけだ。
即ちその時に力などの魔素を使っていれば、瞬時に魔素の上限を少しずつ増やしながら回復することができるため無事に討伐に成功すれば、成長の早さは普通の鍛え方の比ではない。
確かに魔物を討伐すれば私でも強くなれるだろう。
そして少なくとも、あの男の子たちに反撃するまで行かなくても威圧して追い返すことぐらいはできるようにもなるだろう。
しかし、それはあくまでも魔物を討伐できればの話だ。
7歳の私には最弱の魔物たるスライムですら討伐できない・・・どころか逆に殺されてしまうだろう。
今の私には逃げることしかできることがない。
しかし私には秘密が一つだけある。
それは割と希少なスキルであるアイテムボックスを持っているということだ。
とはいえ平民の私には政治だとか商売だとかその辺のことはよくわからない。
結局私には逃げることしかできないのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます