閑話 DとRの密会
月が煌々と輝く夜──
ある男とある女が裏庭の柱越しに顔を合わせずに会話をしていた。
気心の知れた二人はどちらからともなく話を始める。
「本日もつつがなく終わりましたね」
「ええ、無事にエリーヌ様もお休みになりました」
「こちらはいつも通り研究室に引きこもっております。おそらく今夜も徹夜するのでしょうね」
女は腕を組みかえ、柱にもたれかかった。
「今日も侵入者が一人いましたので、片づけておきました」
「相変わらず仕事が早いですね。王国警備隊には?」
「ええ、きちんと引き渡しましたよ。賊はすでに気を失ってましたので、つつがなく引き渡しを終えました」
「ご苦労様でした」
「アンリ様のご様子は?」
「仕事の進捗がまるで遅いですね。これはエリーヌ様への想いでたくさんとお見受けました」
「お慕いしているのですね、エリーヌ様のことを」
「ええ、そのようです」
男は柱から去ろうとして身体を起こすと、言い忘れていたというように呟く。
「アンリ様がこの屋敷から出られることも近いかもしれませんね」
「はい、それまで私は、この屋敷を守るだけです」
女はそう言って暗闇へと姿を消した。
「頼みましたよ」
そう言って彼もまた夜の闇に消えていった──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます