第31話 登校

 朝、体中が痛い。

原因は絶対に床で寝た事だ。

時計を見ると、時刻は6時過ぎだった。

思ったより早く起きてしまったみたいだ。

金輪際床で寝るのはやめよう。

どうやら幽霊はまだ寝ているようだ。

リビングに行こうかな……

俺はそう思い移動しようとした。

が……俺は動きを止めた。

幽霊が取り憑いてるからある程度の距離に居ないとダメって言っていたのを思い出したからだ。

リビングに行って大丈夫だろうか?

いや、何で俺がこの大迷惑幽霊の心配をしなきゃいけないんだ?

別にいいだろう。

離れても……これで幽霊が消えてしまっても俺にはなんの影響もない。

寧ろ嬉しいぐらいだ。

俺は躊躇いもなく部屋を出てリビングに行った。

特に何も起きなかった。

嘘だったのかも知れない。

そうだとしたら俺と一緒に寝たかったという事になるがな。

本当に謎が多い奴だ。

何がしたいのかまるで分からない。

まぁとりあえずさっさと朝食を作ってしまうか……

朝食は食パンを焼くだけなので俺でも出来る。

パンをオーブンに入れた後、パンが焼けるまでの7分の間に制服に着替える。

俺は7分ピッタリで着替え終わり、食パンを取る。

この一連の動作は何度も繰り返す内に身に付いた。

所謂、慣れというやつだ。


「いただきます。」


俺は早速、焼けた食パンを食べた。

俺はマーガリンやジャムをのせずにそのままで食べる派だ。

食パンそのものの味が好きなのだ。

俺はすぐに食パンを食べ終えた。


「ごちそうさまでした。」


そう言うと同時に、リビングに幽霊がやって来た。


「起きたのか。おはよう。」


「おはよう。」


「ある程度離れても大丈夫なんだな。」


俺は幽霊に聞いてみた。

これで嘘か本当か分かる。


「あれ嘘だもん。」


幽霊はケロッと言った。


「じゃあ俺と一緒に寝たかったっていうことか?」


「そっそれは……なんというか……あの……」


「まぁ良いや。歯磨きしてくる。」


幽霊が中々言わなそうだったので俺はこの話を切ることにした。


「えっ……聞かないの?」


「だってお前言わなそうだったし……それに幽霊の話が信じ難くなったからな。」


俺は手洗い場に向かった。

歯磨きは毎日欠かさずに行っている。

俺の嫌いなものリストに歯医者が入っているからだ。

歯医者だけは一生行きたくない。


 その後、なんやかんやあって俺が家を出る時間になった。


「行ってきます。」


俺はそう呟いて玄関から出た。

登校中に向と合流した。


「おはよう。」


「おはよう。杜庵。」


挨拶を交わした後、雑談が始まった。



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