第29話 幽霊は突然やってくる②

 「お前は何しに来たんだ?まさか、騒ぎに来たとか言わないよな。祓うぞいき。」


「祓えないくせに……」


こいつ……なんか1言多いな……俺が嫌いなタイプだ。


「たまたま入った家がここだっただけだよ。」


「帰ってくれ。」


「無理。私、もう貴方に取り憑いてるもん。」


悲報、家にいきなり幽霊が入ってきて取り憑かれた。


「なぁ、幽霊って物理的攻撃効くかな。」


「効かないよ~残念だったね~私は貴方に何でも出来るけど貴方は私に何も出来ないんだよね〜」


「くそっ、とっとと成仏してくれ……」


「そう簡単に成仏出来ないから。これからよろしくね~いいでしょ?女の子と一緒に過ごせて。」


「えっ……お前女だったの?」


「それは酷くない!?」


「顔をよく見てなかったからな。」


よく見たら可愛かったのはここだけの話だ。


「ふと思ったんだが幽霊って何か食べるのか?」


「食べなくてもいいけど食べれはするよ。」


「そうか……あ、すまない。ドックフードは家にはないんだ。」


「ドックフード食べさせようとしてたの?!取り憑く相手間違えたかも……でも変えれないし……最悪だ。」


「お前ってもしかしなくとも自己中だったりする?」


「そんなわけ無いじゃん。」


「まぁ良いか、とりあえず残っているシチューでも食べるか。」


「じゃあ私は貴方の周りを飛んで待とうかな。」


「なんで飛んで待つの?普通に待てよ。」


この幽霊……自由すぎる……御札でも買って貼ってやろうか……


 「あ……ちょっと良いか?寒いんだが……」


俺は温かいシチューを食べている。

だというのに寒い。

恐らくこれは幽霊の所為だ。


「寒くても良いじゃん。涼しいでしょ?」


「今、冬なんだが……風邪をひいてしまう。」


「幽霊は風邪をひかないけどね。」


「羨ましい限りだ。」


俺は寒さに耐えながらシチューを食べ終えた。

そして、腰を上げる。


「何処に行くの?」


「寒いし風呂に入ってくる。」


「ふ〜ん。暇になるな~」


「テレビでも見とけよ。」


俺は風呂に向かった。

風呂には既にお湯がはられてある。

用意周到だ。

俺は過去の俺に感謝した。


 「あ〜」

俺は思わず、声を漏らした。

風呂は良い。

1日の疲れを取ってくれるし、考え事も捗る。

あの幽霊は本当に何なんだろうか……あっ、そういえば自己紹介してなかったな。あいつの名前はなんだろう。

いや、ポチでいいか。

これで合ってるだろう。

ドックフード大好きって言ってたし……今度買っておくか……

俺は冬の温かい風呂を思いっきり堪能していた。

周りを警戒せずに……






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