涼風杜庵と不運な少女

杜鵑花

第1話 出会い

 僕、いや、クラス全体が驚愕に包まれていた。

何故なら今日、転校してきた水色の髪の毛をした少女――――確か星空瞳と名のった――――が驚くべきことを言ったからだ―――。


 僕、涼風杜庵は、高校に通う“普通”の学生だ。

僕は今まで特に何の刺激もない日常を生きていた。

だけどなんだかそれも今日で終わりそうだ。

現在、クラス中が驚愕に包まれている。

それは転校生が自己紹介時に『安全に生きたいなら私とは関わらないで下さい』

と言ったからだ。

そんなことを言われれば誰だって驚くだろう。

勿論、僕も驚いた。

しかし、僕は驚きとは別にもう1つの感情を抱いていた。それは、『興味』だ。

僕は、彼女が何であのような事を言ったのかとか何故転校してきたのかとかに興味が湧いた。

彼女はどうやら僕の隣の席に座るらしい。好都合だ。

僕は彼女に話しかけることにした。

これが、僕の今までの日常が終わるピリオドとなった。


「確か、星空瞳だったか……僕と友達にならないか?」


彼女は凄く驚いたという顔をしている。

いきなりは変だっただろうか。


「私と関わったら安全に生きられないってさっき言わなかった?」


「あぁ言ってたな。だが僕は君に興味が湧いた。何故そこまでして人と関わろうとしないのか教えてくれないか?」


「どうしてそこまで聞こうとするの?あなたには関係無いでしょ!」


「だったら多少強引だが調べさせてもらう。」


「何をするの?!」


僕は右手を彼女にかざし、能力を発動する。

この世界には能力が存在する。これを知ったのはつい最近の事だ。

能力を扱えるようになってからは色んなところに利用させてもらっている。

今も能力で使って彼女のことを“検索”している。

目の前に検索結果が現れる。大抵のものはこれで検索できる。


「星空瞳、17歳……何だ?これ以降は分からないぞ?はぁ〜やっぱり“他人”の能力は完全には扱えないか……」


「能力?!今能力って言ったの?!あなたも能力を持っているの?!」


「あなた“も”?君も持っているのか?」


「うん。私の能力は『災難を呼び寄せる能力』で自分の意志関係なく勝手に発動するの……能力のせいで私は人に迷惑をかけてばっかり……」


「じゃあ人と関わらないのはそれが理由か?」


「うん。本当は友達が欲しい……だけど迷惑をかけてしまうから……」


「能力者は世界に複数人存在する。僕に出会えて良かったな。」


「どういうこと?」


「僕の能力は『他人の能力を少し奪う能力』だ。君の能力を僕が引き取ろう。そうすれば少しは能力が抑えれるだろう。」


「それだとあなたに迷惑が……」


「別に……迷惑なんて思ってないよ。“友達”だからな。」


「ありがとう……」


「僕の名前は涼風杜庵だ。じゃあ能力を少し奪うぞ。」


僕は能力を発動する。

そして、能力を奪った。

少しよろめく。やはり強い能力を奪うときは体力を使うな……


「本当にありがとう杜庵……」


「おいおい、泣くなよ。僕が泣かしたみたいになるじゃないか。」


僕らは思いの外大声で話していたみたいでその後、ヤバイ奴認定されたのはまた別の話だ。

今日、僕に高校初の友達ができたので僕はこれから毎日が楽しいものになるだろうと確信していた。







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