第十一話 パンツの謎

先生の助言をもとに僕は考える。

腕を組んで唸りながら考える。


恐らく妹は何かを成そうとしている。しかし自信が無いので足りない部分を何かで補おうとした。

彼女は、助言を彼女の先生に訊いたところで付込まれて――パンツを脱いだ。

先生が「何事もパンツを脱いで当たれば、上手くいくものだ。脱いだ方が良い。いや、むしろ脱げ」と言ったから。


いやいや、脱ぐか?そんなことで、それだけの話で?

どうにも絵が浮かばない。

実は案外、パンツを脱ぐほどの思い切った覚悟で事に当たれ、みたいなことを言われただけなんじゃないのか?

それをまともに真っ直ぐに直訳的に愚直に受け取り、そしてことに至った?

よし、まずは経緯の理解が必要だ。

僕は、組んでいた腕を解いて妹の目を真っ直ぐ覗き込みながら訊いてみた。


「なあ、よくわからんが、パンツを脱がないとできない何かがあるのか?」

「そんなの、あるわけないじゃん。おしっこでもするの?」

「ああ、うん、どうしよう。会話が成り立たない…」

「おにぃってば、それすっごい失礼じゃない?」

「ごめん、悪かった。僕が悪かった。だから許してくれ」

「うーん、まあ、いいけどさぁ。許す」

「そうか、ありがとう。助かったよ」


さて困った。そもそもとして、こいつに付け入るとか、果たしてできるのだろうか?


「なあ、試しに先生に今の会話の流れに問題が無いか訊いてもらえないか?」

「そんなことよりも、さっきの話は?」


うはは。もういっそ先生にバトンタッチして代わりに対応して貰うというのは、どうだろう?

いや、駄目だ。それはポリシーに反する。


「…えっと、そうだった。おしっこするわけじゃないんだよな?」

「どういう話よ」

「ああ、うん。えっと、まず細かい話は置いといて、おまえ何かしたいことがあるとか?」

「ああ、そこね。そこは、ちょっと話せないと言うか、無理」

「そうかぁ、言えないかぁ」

「うん。ごめんね?」

「いや、いいんだ。別に無理して聞くつもりはないよ」


さて、困った。

いつものことだが、我が妹はとてもむずかしい。何が難しいって何事もこちらの思惑通りに進まないのだ。

うん、諦めた。先生に訊いてみよう。


先生、お願いします!

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