マリアとラロ

蒼キるり

第1話

 小さな女の子が光の差し込む部屋にそっと入り、真ん中に置かれたベッドに駆け寄った。

 大おばさま、と女の子は言いながら、ベッドの上で本を読んでいたその人に笑いかける。



「こんにちは、ソフィー」


「こんにちは、大おばさま。身体のお加減はいかがかしら」


「今日は調子がいいのよ」



 よかった、と女の子はほっとしたように笑って、それから近くの椅子に座ったかと思うと、可愛らしくおねだりを始めた。



「ねえ、前にも聞いた、あの星の女の子のお話聞かせて。いっぱいがんばって、疲れちゃった女の子の話。ねえ、いいでしょう?」


「本当にソフィーはあの話が好きねぇ」


「だって素敵なんだもの」



 うっとりとする女の子に、はいはいとその人は頷いて本を横に置いた。

 そして昔を懐かしむようにそっと目を閉じて語り始める。



「じゃあ、話しましょうか」



 むかしむかし、あるところに天文台がありました。その天文台にいたのは一人の若い女の子だけで、来る日も来る日も星を見上げていたのです。物語はそう言って始まった。


***

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