マリアとラロ
蒼キるり
第1話
小さな女の子が光の差し込む部屋にそっと入り、真ん中に置かれたベッドに駆け寄った。
大おばさま、と女の子は言いながら、ベッドの上で本を読んでいたその人に笑いかける。
「こんにちは、ソフィー」
「こんにちは、大おばさま。身体のお加減はいかがかしら」
「今日は調子がいいのよ」
よかった、と女の子はほっとしたように笑って、それから近くの椅子に座ったかと思うと、可愛らしくおねだりを始めた。
「ねえ、前にも聞いた、あの星の女の子のお話聞かせて。いっぱいがんばって、疲れちゃった女の子の話。ねえ、いいでしょう?」
「本当にソフィーはあの話が好きねぇ」
「だって素敵なんだもの」
うっとりとする女の子に、はいはいとその人は頷いて本を横に置いた。
そして昔を懐かしむようにそっと目を閉じて語り始める。
「じゃあ、話しましょうか」
むかしむかし、あるところに天文台がありました。その天文台にいたのは一人の若い女の子だけで、来る日も来る日も星を見上げていたのです。物語はそう言って始まった。
***
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます