第5話 外出
○
シンスタのアカウントを作り、
ところで、これはどうやって……
『
メッセージのやり取りの仕方に戸惑っているところに、朝倉さんがメッセージをくれた。
『そうだよ』
『良かった! アイコンのキャラクター、誰?』
『僕の好きな漫画の、
『へぇー、なんかかっこいいね!』
『作中でもイケメンっていう設定があるからね』
『そうなんだ!』
こんなに勝手なことを喋っていていいのだろうか。
『ショッピングモールって、どこに行くの?』
『ミオンとかでいいんじゃないかな? あ、でも同級生とか皆来るかもね……ちょっと遠くのミオンにした方がいいかも?』
『そうだね、そうしよっか』
朝倉さんからしたら、僕と一緒にいるところを見られたくはないだろう。
『電車でいいかな?』
『いいよ!』
『集合場所は……あそこのちっちゃい公園でいい?』
『あそこね、わかった』
だめだ、全部朝倉さんに任せっきりだ。
『時間は、9時半ぐらいでどうかな?』
『丁度いいね』
『ありがとう! じゃあそんな感じで!』
……何もできなかった。
せめて、何か話さないと。
『明日、楽しみにしてるね。誘ってくれてありがとう』
『うん! 私も楽しみ!』
僕は以前、朝倉さんにとって、僕と一緒にいることが苦痛ではないのかが疑問だった。しかし、今となってはそんなことを考えてすらいなかった。
僕たちは、「友達」になれたのだろうか。
――翌日
時間よりも早く集合場所に着いておき、約束していた女性が来たら「全然待ってないよ!」と爽やかに言う……
まさか、これをやるチャンスが僕にあるとは!
……そう思っていた。
「あ! 白宮さん! おはよう!」
「え、あ、あ、朝倉さん! お、おはよう……」
まだ9時だよ朝倉さん?! 30分もあるよ?!
「ごめん、ま、待った?」
「全然! じゃあ、行こっか!」
……
ここまで、だめなことってある……?
――30分後
「おお、着いた」
「着いたね……」
僕はいつも、外出をすると気分が変になってしまう。普通の建物にすら、感動してしまうのだ。
僕たちは店内へと進んだ。
「よーし、まずはどこ行こう?」
「うーん、本屋とかどうかな?」
「いいね! 行こ!」
僕たちはまず、本屋へ向かうことになった。
「私、あっち見てきてもいい?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、後であそこのソファに集合ね!」
別々に行動することになった。
僕は、漫画コーナーへと向かった。僕が買いたいのは、鈴木さんが最近ハマっていると言っていた「レッドチェーン」という漫画だ。流行っているのは知っていたが、詳細を調べたことはなかった。
漫画コーナーでその漫画を見つけると、全巻を手に取り、セルフレジへと向かい、購入した。
スマホを確認すると、まだ全然時間が経っていない。集合場所のソファに座り、レッドチェーンの1巻を読み始めた。
これでやっと鈴木さんと共通の話題ができる。そう思いながら読み進めていると、声が聞こえた。
「白宮さん! ごめんね、遅くなっちゃって!」
「あ、朝倉さん。大丈夫だよ! 欲しかったものは買えた?」
「うん! ちょっとだけだけどね。白宮さん、すごい買ったね!」
「20巻ぐらい、一気に買ったんだ。鈴木さんが最近ハマってるって言ってて」
「そうなんだ! じゃあ、今度こそは鈴木さんと話せるかもね!」
「うん!」
「じゃあ次は……とりあえず歩こっか!」
「そうだね」
なかなかここのミオンに来ることがないため、どこに何があるかを把握しきれていない。そのため、とりあえずは歩くのが良いだろう。
「あ、そうだ、私、CD買いたいかも!」
「CDショップってどこだろう?」
「うーん、わかんないね」
そんな会話をしながら、僕たちは歩いた。
歩き始めて少し経った頃。
「あれ、
誰かの声がした。
「!」
「お、華ちゃんじゃん! 偶然だね!」
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