日満安全保障条約

 大日本帝国と満州王国の間の相互協力及び安全保障条約


 大日本帝国は、満州王国が住民の意思で成立した独立の国家であることを確認した。また、満州王国はこれまで中華民国が大日本帝国と結んでいた条約・協定を新たに締結し直し、真の独立国家として歩み始めることを宣言した。その為、日本政府と満州王国政府は、両国の間に「良い同盟国」としての平和及び友好の関係をより強め、お互いのその領土権を尊重し、東亜の平和を確保するために次の通り協定する。


 『第一条』

 満州王国は、満州王国領域内で、将来日満両国間で個別の条約が締結されるまで、従来大日本帝国と日本国民が中華民国との間で締結した条約・協定・その他の取り決めや公私の契約によって得ていたすべての権利権益を暫定的に認め、これを尊重する。

 日満両国間で個別の条約を三年後を目処に締結することを相互に約束する。


 『第二条』

 大日本帝国は、満州王国の立憲君主的な諸制度を強化し、満州王国の安定と自由を助長する為、継続的な援助を行い、平和的かつ友好的な両国関係の一層の発展に貢献する。


 『第三条』

 日満両国は、継続的かつ効果的な自助及び相互援助によって、武力攻撃・侵略に対抗するそれぞれの軍事的能力を維持し発展する様に努める。


 『第四条』

 大日本帝国は、満州王国の領域に対する武力攻撃が東亜の平和を危うくするものだと認め、東亜の安定と共産主義からの防衛の観点から、両国の規定に従って協力して危機へ対抗していくことを宣言する。


 『第五条』

 満州王国の安全に寄与し、東亜の安定の維持及び共産主義からの防衛に寄与する為、大日本帝国の陸軍及び海軍は満州王国において指定された施設及び区域を使用することを許される。

 前記の施設及び区域の使用並びに満州王国における大日本帝国軍隊の地位は、同日に締結される大日本帝国と満州王国の間の相互協力及び安全保障条約に基づく施設及び区域並びに満州王国における大日本帝国軍隊の地位に関する協定に基づいて規律される。


 この条約は、署名の日から効力を生じる。


 この条約は、日本語文・中国語文・満州語文で三通作成し、解釈が異なる場合には、日本語文の文面で解釈することとする。


 以上の証拠として次の名の者は、各本国政府から正当な委任を受けて、この条約に署名調印する。


 昭和七年九月十五日即ち大同元年九月十五日新京においてこれを三通作成する。


 大日本帝国特命全権大使 重光葵しげみつまもる


 満州王国国務総理 鄭孝胥ていこうしょ

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