第2話

家の中



 俺はダメな男だ。


 暇さえあれば、金井さんの妄想をしてしまう。


 【どうかな?似合ってるこの水着??】


【に・・・似合ってると思うよ】



 やばい、つい答えてしまった。こんな調子で親友の恋を応援したいのに、変な妄想をしてしまう。


 【羽村くん(親友)私も・・・】


そうだ、そんな感じだ。


【って違うでしょ、こんなに妄想してるなら素直に嫉妬してよ】


【いや、俺は応援を】


電話が鳴る。


 親友からだ。


 【待って、それを出てはダメ】


【なんで?】


【きっと私の恋愛についての相談に決まってるよ】


【それなら、俺はしっかりと】


【酷い!!さっきまで水着の姿の私を凝視してた癖に!!】


【うっ、幾ら妄想とは、それは本当に申し訳ない】


【なら出ないで】


「もしもし??」

まぁ妄想だしな。


 【あぁー!!】


「もしもし、今日、その保健室で何かあった?」


【早速、私とのこと気になってるじゃん!!】


「特にないよ。俺が倒れないように見張ってくれただけ」


「そうなんだ、良かった。」


「うん、安心して、俺は」


【待って!!その続きは言わないで!!ほら見て、私の水着】


うぅ友達が本気で好きだと思っている人の水着姿を妄想してしまう俺・・・なんてダメなんだ。


【そんなの男の子の反応だから当然だよ。それよりほらこんなに妄想してるんだから、ゆう君は私のことが好きだって】


「俺は何??」


「あっごめん。俺は応援するよ」


【言ってしまった・・・こんなに、こんなに私をおかずにしてるのに】


そこまではしてないよ!!

 

 「ってことで俺明日告白しようと思う」


【えぇー!!】


俺の妄想は驚いている。


 「そうなんだ!!がん」


【ストップ!!ストップ!!応援しても私振るから絶対振るから!!そんなの応援しなくていいの】


「頑張ってね」


【あぁー!!酷い!!私に振らさせるなんて】


「おうよ!!男を見せるぜ」


【・・・はぁ優くんの最低、浮気性癖】


 俺の妄想が凄く悪口を言ってくる。


 俺もこの妄想の癖、直さないとな。

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