ナギノート:虚空に凪の音がする

 世界はどこまでも美しく、広く……。

 それが全てであると僕が勘違いをしていたことに気づいたのは、いつだったか。

 それは、僕が学問を辞めた日からだ。

 いや、僕は薄々気づいていたのだ。


【井の中の蛙大海を知らず】


 だから僕は学問をやめた。


 これじゃない!

 他の方法を探し、確立せねば!


 それ故の万象の劣等、それさえも僕は踏み越えて。冠の条件を満たすには、やはり空よりも高い聖所に入る必要がある。


 凪の音、ナギノート。僕は"それ"を凪の黙示録と称した。記されたのは自動書記か御神筆か、それともただの妄想か。

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