不協和音
不良のケイジ
始まりは絶望から
ザッザッー、うるさく付き纏う雑音、耳を塞ぐ。こんなにも周りの景色が、色が、音さえも醜く見えてしまったなんて、私はどうしてこんなにも小さい存在なのだろうか。
7月7日、七夕の日。
私は親子水入らずで短冊を描きに行った。しかし、私には願いがないのだ。小さき夢もない。私はただこの光景に色が着くのを待っているのだ。待てど待てど色は一向につかない。だが私は永遠に待つと決めた。必ずしも望んだ世界を見れないくても私は色が付くまで、音が、景色が、色が、美しく見れるまで、私はこの身朽ち果てようとも必ず待ってみせると決めたのだ。
私は親と共に短冊を書いた。特に欲しいものなどはなかったが世間体を大事にする親だったので目の前で書いてみる素振りを見せてみた。
その時に私が書いた物は、
「新しく夢ができますように」
そう私は書いた。親が内容を確認した時、少しほっとした様な、悲しそうな、複雑な表情をした。私は、喜んでいいのかも分からず更に親にこう告げた。
[ごめんね。お母さん。こんな物しか書けなくて]
親は失望したのだろう。目から光が消えていた。私も光が見えなくなってしまった。ああ、またやってしまったのだなと。私の悪い癖だ。それが私が、希望を失ってしまった瞬間だった。
20XX年4月29日、母の誕生日
当時私は13歳。母は35歳であった。そんな母の為に私はプレゼントを送ろうと考えた。母が喜ぶかどうかは別として、私なりに努力をして考えたのだ。本当だとしたら私は他人の誕生日など微塵も興味はないし、進んで行動するなど面倒な事はしたくない。しかし、母の評価を見直してもらうのを最優先として私から進んでプレゼントを選んだのだ。
私は母が帰宅する時間まで8時間待った。
しかし、母は帰ってこなかった。私は、母の居場所を探しに職場の近くまで向かった。
母の職場には誰もおらず、残っていたのは先日、母に渡したアメジストのみであった。
アメジストは去年の夏頃にプレゼントしており、私とお揃いのものであった。しかし、肝心な母はおらず、残っていたのはアメジストのみとなっていると行方不明になってるのではないかと私は思い、警察に連絡をした。
警察からは失踪届を受理するまで二日待って欲しいと言われ、私はその間家で待つことにした。
翌日。
やっぱり母は帰ってこなかった。失踪届けを無事受理してもらい、警察から全国に捜索願いを出してもらい、母を探してもらった。
だが、そこで待っていたのは衝撃すぎる事実で会った。
母は、殺されていた。
頭部を粉々に砕かれるほどに、体をぐちゃぐちゃにされる程に、臓器というものをおっぴろげてるように。残忍な殺され方をしてるのを齢13歳にして私は、母の死を体験してしまった。
その時、煩いくらいに耳に雑音を感じた。
ザザザッーーーーザアアアアーー。
うるさすぎて耳を塞ぎ、しゃがみこんでしまった私を影から心配してくる警察官。
私は警察官に気を遣い、必死に大丈夫と呟いたそうだ。
私は、母の誕生日に母を亡くし、最悪な日を過ごした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます