水は水色

ぺがすす

水は水色

教室を泳ぐメダカに追いやられ 孤独なハゼは息ができない


鐘が鳴るひとつ賢くなるたびに 終わりに近づくたびまたひとつ


僕たちの賞味期限は短いと 黒ずんでいくバナナを手折る


憂鬱を集めてできたゴミ山も 燃やせば光るそのうち燃える


肌も目もそれぞれ違う僕たちが 同じ色だと知る保健室


誰にでも雨は等しく降り注ぐ 傘を持たない僕の上にも


大海を知らぬを恥じることなかれ クジラといえど井戸さえ知らぬ


めいっぱい解き放たれた水流が 空の高さを知る水飲み場


毛ほどしか進まぬ雲を向日葵が 昨日と同じ場所で見上げる


透明なビー玉越しの世界すら ゆがんで見えた十四の夏


銃声をきれいな指でかき消して 静謐を抱きまどろむ未明


舌先でたしかに溶けたブルーハワイ 僕だってまだ冷めきっちゃいない


庭の隅懸命に咲くアサガオを 抱えて僕も夏の向こうへ


月さえ映らぬ濁った溜池に いたずらに落つ明星ひとつ


勘違いそんなことなどわかってる わかってるのに揺らぐな心


昼間にも流れる星があると知り 君の涙に想いを馳せる


知ってるよ君に彼氏がいることは ときめく前に知りたかったよ


青春は音も立てずに忍び寄り サヨナラだけはしっかり告げた


冷たさを自らの手ですくい上げ 水は水色ではないと知る


清流に抗えど放り出される ひたすら自由で冷たい蒼に

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水は水色 ぺがすす @t_pegasusu

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