第二章
第16話 衝撃の一言
俺たちはサラダプレートが来るのを待ちながら、洸太が来るのも待った。
とはいえ先に来たのはサラダプレート。
俺たちはサラダプレートを食べながら、リビングで洸太を待った。
しばらくして30分くらいした頃だった。
家のインターホンが鳴り、俺は洸太だろうとは思いつつも、一応誰かを尋ねる。
「はい。」
「あっ、洸太だ。」
「知ってた。」
俺は家の鍵を開けて洸太を中に招待する。
「おじゃまします、って。これ誰の靴?」
「あぁ。中に入ればわかるよ。」
「誰?こんな朝からお前ん家にいるのって。」
俺たちはリビングに向かう。
そこにはソファーに座った朱莉がいる。
「あっ!おはよう!君が洸太君だね!」
「あっ、はい。で、どちら様ですか?」
朱莉はそりゃ私のことわかるわけないよなと言わんばかりに笑った。
「私はね、宇佐美朱莉っていいます!」
「宇佐美ってもしかして光莉の姉とかですか!?」
「そうだよ!よくわかったねぇ。」
「なんでこんなところに?」
「それはぁ〜、、、」
朱莉が恥ずかしそうにもじもじしながら躊躇っている。
「俺の彼女なんだよ。朱莉は。」
「あぁ!言っちゃった!」
「ぇえええ!!!」
洸太は案の定、カチカチに固まった。
まぁ、正しいリアクションだろう。
もし俺が洸太の立場でも同じように固まっていただろう。
「おい。海斗。いつからそんなにやり手になったんだよ。」
「なんだ?その俺をバカにしたような言い方は。」
「だって今まで俺に嘆いてたじゃねぇかよ。女子と仲良くなれないって。」
「……。」
まぁその通りだけど。
「もういいんだよ。そんな話は。それよりも洸太が話があるって言うから俺は家に来ていいって言ったんだよ。」
「じゃー用がなかったらお前の家には来れねぇのか?」
「そういうわけじゃないけど。」
「まぁ一旦座らさせてくれ。本題にも入りたい。」
俺たちはダイニングテーブルに座り洸太の話を聞くことにした。
「まず最初に簡潔に事を説明する。」
「何があったんだ?」
「俺、昨日、光莉に告白された。」
「「えっ!?」」
俺の朱莉の反応が被った。衝撃の一言だった。
「「ど、どういうこと?」」
またしても被った。
「お前ら、カップルは息ぴったりだな。海斗は光莉と別れて正解だよ。」
「どういう意味だよ、それ。」
俺は聞き返す。
「光莉が俺に告白してきたんだよ、昨日。俺が光莉に呼び出されて、会いに行ってみたら、突然付き合ってくださいって。」
「ほう。」
「それでなんで付き合うんだ?って聞いたら、好きだからって言うし。海斗が好きだったんじゃなかったのか?って聞いたら、それは洸太君と仲良くするために近くにいた海斗を利用しただけって言うし。」
「なんちゅう奴や。」
「ほんとだよ。なんて奴だよって話。俺はブチギレたね。そんな俺の友達を利用して付き合おうなんか話聞いて、付き合う気も失せたわって言っといた。」
「光莉がそんな事を?」
朱莉は洸太に聞いた。
それは耳を疑う話だろう。少なくとも自分の妹がそんなことしたら普通は驚きを隠せない。
「まぁー、お姉さんには信じ難い話かもしれないけど、本当の話なんですよ。俺も光莉がそんな人なんて思ってもみませんでしたよ。」
「光莉が…、そんな事を。」
言葉を失っている朱莉の背中を俺は摩りながら、洸太に聞いた。
「俺を利用しようとしたことはわかったけど、その後に俺とだいぶやることはやったぞ?」
「というと?」
洸太は少し悪い顔をして俺に聞く。
「キスまではした。」
俺がそういうと朱莉が俺を見つめ始める。
「もちろんそんな話はだいぶ昔だし、今は朱莉が1番大好きで大切だよ。」
少し安堵した表情を見せる朱莉。
誤解を解かないと何をしだすか分からないからな、朱莉は。
「何より光莉がそんなやつだと思わなかったって話なんだよ。」
「確かに俺もそう思う。」
そもそも光莉の性格が捻じ曲がっていたとして、それを平然と何もないかのようにいい子で振る舞っていることに疑問を抱く。
俺が頭の中で光莉の行動を考え直した。
「あっ。」
俺は驚きと不安なのか焦りなのかわからないが声が出た。
「どうした?」
洸太が俺に尋ねる。
「今、思い出したくもない人間が頭によぎった。」
「「誰?」」
洸太と朱莉が聞いてくる。
「俺の父親。」
「お前の父親?もういないんじゃねーのかよ。」
「そうだよ、俺を捨てて逃げたよ。けどそれがどこか引っかかるんだよ。」
父親、俺の父親だけは許さない。
あんな人間とは二度と関わりたくない、のに頭によぎったのだ。
そして同時に違和感も覚えた。
あとがき
どうも。マリウスです。
更新再開します!遅くなって申し訳ございません。ここから少し重い展開が続きますが、ぜひ読んでいただければなと思います。
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