第6話 私にやられっぱなしだねぇ♡

 お互い寝る準備を終えて、ベットに向かう。とてつもないスピードで支度を終えた朱莉さんはベッドにダイブしていった。俺もベッドに向かうのだが、シングルベットなので、二人で寝るには狭すぎる。

 

 俺は朱莉さんがベッドで寝るなら俺はソファーで寝ると言って寝室を出ようとした。

 すると朱莉さんは俺に行かないでと言わんばかりに飛びついてきた。


「海斗君!行かないで!今日は一緒に寝よ?」

「いや、狭いじゃないですか。シングルベットですよ?」

「いいのー!もうカップルなのー!一緒に寝るのー!」


朱莉さんは駄々をこねて、俺に留まるように言う。


「わかりましたから!離してください!」

「私が離したらリビング行っちゃうでしょー!ダメー!離さないー!」

「いや、行きませんって!朱莉さんのお願いは断れないですよ!」


そういうと朱莉さんは照れたように俺から目線を外し、俺から離れる。


「まぁ、海斗君、私には勝てないもんね。」


朱莉さんは嬉しそうに言う。


「ほらベット、いきましょ。」

「うん!」




 俺は朱莉さんがゴロゴロしている横に寝そべる。


 正直こんなことしたことないし、高校二年にもなればそういうコトもなくはないかもしれないが、何せ相手が光莉だったのもあって、体を重ねあうことはなかった。


 俺も別に光莉とヤりたいなんて思ったこともない。普通にデートとかに行って、楽しめればそれでいいと思っていた。光莉にはそういうことをしちゃいけないという、何処かガードみたいなものを自分の中で作っていた。

 学校では高嶺の花的存在。それをそういった行為によって汚されていくのは、俺としてもよくないと思っていたから。




 今、こうして俺のベットに朱莉さんが寝転んでいること自体が信じられない。


 とにかく可愛いのだ。光莉とは違う可愛さ。どこか守りたくなるような、そんな感じ。


「おーい!おーい!海斗くーん!」


俺は朱莉さんに名前を呼ばれていた。

俺は慌てて返事をする。


「は、はい?何ですか?」


「どうしたの?海斗君、全然反応してくれなかったけど。」


「いや、ちょっと考え事をしてて。」


ふーん、といって朱莉さんは俺に近寄ってくる。


「海斗君、こうやってベッドの上で誰かと寝るなんて初めてでしょ!」


「な、何でですか?」


正解!大正解だ!


「だってー、絶対緊張してるよね!?」


「うっ!」


「ほら〜!正解だぁ〜!」


そりゃ初めてじゃなくても緊張するだろ!こんなに美人な人が横にいるんだぞ!


「だって、そりゃ、こんな可愛い人と一緒に寝るんて。緊張するでしょ!」


「ふーん♡そっかー、可愛いのかぁ♡それじゃぁねー、、、えい!!!」


朱莉さんは「えい!!!」とか言って、俺に抱きついてくる。


「可愛い私が緊張ほぐしてあげるね!」


「………。」


正直、何も言えない。


それは可愛すぎるから。


こんなに朱莉さんといちゃついて天罰でも喰らわないかなと心配になる。

俺、明日死なない?大丈夫かな?


朱莉さんは俺に抱きついて離れない。


「朱莉さん、もう大丈夫です。緊張、ほぐれたんで。」


「嘘だね!だってまだ心臓バクバクしてるもん!」


「それはあなたが抱きついてるからです!」


「あぁ〜、海斗君、私にやられっぱなしだねぇ♡」


「俺は勝てません。多分勝てること、ないです。」


朱莉さんは得意げに俺を見つめて、離れようとしない。

俺も自分からは離れようとはしない。なぜだか落ち着くのだ。朱莉さんとくっついていると、とても落ち着く。




 そんなふうにしていると、いつの間にか時間も過ぎていっていた。俺はだいぶ疲れていたのもあって、ベッドに寝っ転がった状態でウトウトしていた。もちろん、朱莉さんは俺に抱きついている。

俺は抱きついている朱莉さんを見る。するとものの10分程度で寝てしまっている。しかも抱きついた状態で。

俺は朱莉さんの腕を優しくどかし、ちゃんと布団をかけてあげる。

ここで俺はソファーに行くか悩んだが、あれだけ拒まれたので流石に一緒に寝ようと思い、朱莉さんの横に寝っ転がった。




 にしても朱莉さん、可愛すぎる。寝顔も可愛い。まだ会ってから一日も経ってないのに、付き合って。それでも付き合いたいと思うくらい、魅力的な人だ。

 光莉なんかより、よっぽど朱莉さんの方が魅力的だな、とか思ていると、いつの間にか俺は眠ってしまっていた。








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