元カノの姉と付き合うことが一番幸せだと気づいた件について。

マリウス

第一章

第1話 俺のストーカー


 俺は今日、フラれた。



 意味が分からなかった。突然、放課後に彼女に呼び出され会いに行くと、彼女から発せられた言葉は、「別れよう」の一言。そういい遂げて俺の前から去っていった。


 俺(宮城海斗)は訳も分からず、ただその状況を受け止めるだけで精一杯だった。よくあの状況から、今こうして公園のベンチまで来れたものだ。ほんとに分からない。俺が彼女に何かしたわけではない。それなのにフラれた。


 しかし改めて考えてみると、自分が相手と釣り合っているかというと、そうでもなかった気がする。相手は品があって、美人で文武両道。何でもこなせる、いわゆる完璧なマドンナだった。もちろん自分がそれに釣り合うような人間ではないことはわかっている。それでもあの日、俺が告白をしてOKをもらった時。俺は自分の存在意義を認めてもらった気がした。俺の存在意義を見つけてくれた人だったから、俺は相手と真面目にお付き合いをしているつもりだった。



 それでもフラれた。



 一方的な恋愛だったのだろうか。自分の何が悪かったのだろうか。そう訳も分からずにただ、公園のベンチで一人、悩み続けた。






 陽も落ちて辺りが暗くなり始めた頃、俺はまだ公園のベンチにいた。もうどうでもいいや、と投げやりに思い始めていたものの、それで解決する話でもないな、とか考えて、家に帰るの忘れていた。とはいえ家に帰ったところで誰かが迎え入れてくれるわけでもない。


 俺の家庭は両親が離婚して、親権は母親に渡った。しかしあろうことか母親は自分の幸せを優先して、再婚し俺に一人暮らしを勧めてきた。俺としては高校生の時点で一人暮らしという、一般的には珍しい境遇を嬉しいと思ったことも確かだ。別にお金は母親と別れた父親からしっかりもらってるし、たまにアルバイトもしていてお金は困っていない。


 しかし困るのは今のような状況だ。家に帰っても誰もいない。何も手をつけつけたくないが、自分で全てをやらなければいけない。もちろんのこと人の優しさにも触れられない。


 自分の人生がどこでどう間違えたのか、どこで踏み外したか分からなくなって、考えるのをやめた。体の力を抜いて、ベンチに身を任せてみる。すると見えてきた景色は、星が多く輝く夜空。星が綺麗だ。あの星が俺に何かを訴えているのかな?とか思いながら、笑っていた。






 数分間、俺が空を見上げていると、どこかから聞き覚えのない声で俺の名前を呼ぶ声がする。


「海斗くん?海斗くんだよね?」


知らない声。俺は抜いていた力を体に入れ直し、辺りを見渡す。すると公園の入り口から、私服の女の人がこちらを見ている。

あの人だろうか。俺の名前を呼んでいたのは。

俺は気になってその女の人にを声をかけてみる。


「あのー、僕の名前、呼びましたか?」


すると入り口に立っていた女の人は小走りで俺の方に駆け寄ってきた。


「あっ!やっぱり!海斗君だ!こんな夜に何してるの!?」


俺はこの女の人と知り合いである記憶がない。


「あのー、どちら様で?」

「そんなことどうでもいいから!早く家に帰るよ!ほら!立って!」


そう言って、その女の人は俺の手を引いて、『家』に連れて行こうとする。俺は抵抗する力もなく、その女の人の行く『家』に向かった。






 間も無くして、その女性が家と言って連れてきた場所は、なんと俺の住む一軒家だった。俺は流石に戸惑いを隠せずに女の人に問いかけた。


「ちょ、流石に何ですか?何で俺の家なんか知ってるんですか?てかあなた誰ですか?」


そう聞くと、女の人は笑みを浮かべて答えた。


「私はね、海斗君のストーカーだよ。そして宇佐美光莉の姉の宇佐美朱莉だよ。」

「えっっ!?」


俺は家の前で今までにない衝撃を受けた。





あとがき


どうも。マリウスです。


このあとがきを書くのも何ヶ月ぶりかなと思います。一旦小説から離れては見たものの、やはりどこか物足りない、刺激のない三ヶ月だった気がします。私生活はだいぶ変化しましたが、やはり小説を書きたいという欲は変わりませんでした。


心機一転、新しい作品を書いてみました。読みやすいのと、展開をたくさん作れるかなと思い、一話一話のお話は短くしてあります。


そして過去の二つの作品に関してですが、過去の二つの作品に関しては手をつけずに、あのまま放置しようかなと思います。あの作品はお試しで書いてみた感じのものなので…。もしまたいつか機会があれば改修版を公開しようかなとか考えてます。


何よりこの「元カノの姉と付き合うことが一番幸せだと気づいた件について。」と言う小説を完結まで持っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。





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