チーム探し開始
夜は借りた家に帰宅後、すぐに変身を解きこっそりヘッズオブドラゴンの本拠地に戻る。
「お帰りなさい、どうでしたか?」心配そうなアリエッサにで迎えられる。
「ああ、上手くいったよ。家も借りたし、装備も魔道具も買ったし、冒険者登録も完了した」
「それは良かったです」アリエッサは笑顔だ。
「あ、そうそう、『銀の雫』という名前のカフェを見つけたんだけど、アリエッサは知ってる?お洒落で料理もまあまあ美味しくて気に入ったよ。自称看板娘も可愛かったしね」
「……知らないです。どんな女の子ですか?」
「元気で可愛らしい女の子だよ。20歳なのに料理屋を開くという夢のため頑張ってるんだって。偉いねえ」
「そうですね……」
アリエッサの表情が消えた。無表情の時は全く興味がないか怒っている時なのでこの話題は無かったことにしよう。
「そういえば、穴を掘りたいんだけどどこに掘ればいいかな?」
「借りた家と本拠地を繋げる穴ですね?こちらの地下室と繋げれば問題ないかと思います。直すのが大変なのであまり大きな穴は掘らないでくださいね」
「了解。気をつけるよ」
俺は早速穴掘りを始める。と言っても俺にとっては大した作業ではない。保有魔法の一つを発動し、サクサクと穴掘りを進めていった。
「ふう、とりあえず地下室と新居の床と繋がったな」
これで誰にも気づかれず移動することができるだろう。穴も一人が通れる最低限のサイズに留めたし、床下をこっそりくり抜いたから誰か来てもすぐにバレることはないだろう。
「とりあえず明日からはチーム探しだな」俺はアリエッサと夕食を取りながら雑談をする。
「チームは大事ですからね。変なチームに入らないよう気をつけてくださいね」
「冒険者ギルドでも言われたよ。どうやって探そうかなあ」
「とりあえずLV3ということで期待のルーキー扱いされるのではないでしょうか。冒険者ギルドで相談すれば紹介してくれそうな気がします」
「確かに、そうだな。いきなり殴ったり、すぐにキレたりしない、いい奴を紹介してもらおう」
「荒くれ者は多いですからね。あ、そういえば変身に関して一つ。殴られるくらいでは大丈夫ですが、『LV3として』命の危機になると自動的に変身は解除されます。なのでいきなり攻撃されても命を落とす危険は少ないですが、バレてしまうので気をつけてくださいね」
「なるほど、了解。気をつけるよ。じゃあおやすみ。明日もよろしくね」
「はい、おやすみなさい」
翌朝、俺はまたアリエッサに魔法をかけてもらい1日を始める。銀の雫に行く事も考えたが、昨日の今日で再訪問するのは気持ち悪がられる危険性があるため辞めた。ストーカーと思われたら怖いしね。
俺は冒険者ギルドを再度訪問した。受付に話しかける。
「あのー、昨日冒険者登録が終わったのですがチーム探しをしたくて。お勧めのチームなど紹介してもらえませんか?」
「すいませんが紹介はしておりません。あまりにもチームが多く……代わりにチーム募集の掲示板が奥にございます。そちらに自己紹介シートを記入いただいて貼り付けていただければ、興味を持った方から声をかけられる可能性があります。そちらで対応いただけますか?」
なるほど、紹介はしてもらえないみたいだ。まあチームなんて無限にあるわけだし冒険者ギルドでの把握にも限界があるか。自己紹介シートを埋めてアピールしていこう。
えーと、名前、出身、年齢、性別、保有魔法、見た目の特徴、希望するチームの特徴……受付から自己紹介シートを受け取り中身を埋めていく。
希望するチームの特徴って何を書けばいいんだ? 俺は掲示板に貼られている他の自己紹介シートを眺める。貼られているシートはレベル1や2の冒険者が多い。希望するチームの特徴欄には、遠征が少ないチーム・女性が多いチーム・少人数のチーム等色々と希望が書かれていた。
俺の場合、強いチームだとふとしたことで知り合いと遭遇しかねないから却下だ。強いチームは昔からある傾向にある。最近できたチームを要望しよう。そして人数が多いと知り合いがいる可能性がある。少人数だな。
「最近設立された・これから設立する新しいチームを希望します! 少人数のチームが良いです!」とりあえずこんな感じでいいか。楽しみだ。俺は冒険者ギルドを後にした。
その後、ぶらぶらしているとアリエッサがチーム募集掲示板を眺めていたことが噂になっていた。ヘッズオブドラゴンが新規メンバー募集か? とざわついて話題になっているようだ。確実に俺のせいだな。心配してくれているのかな、アリエッサ。
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